鬱病だったころに病院で、「何か楽しいことをしましょう」とよく言われた。
不安とか、嫌なこととか死ぬこととか考えずに、何か楽しいことを探しましょう、やりましょう、と。
そんなこと言われましても…
と思ったのが正直な感想。
それが出来たら苦労しねーよって思った。
今まで好きだったものは全然好きじゃなくなっていたし、楽しいと想えなくなってた。
カフェめぐりもサッカーもサイクリングも、どれも楽しくない。
気軽に楽しいことをしましょうって言われても、何も感じないのにどうしろと。
あの頃は基本的に死ぬことしか考えられなくて、苦痛な時間しかなかった。
自分は死んだほうが良い、死ぬべきだ。
そう自分の声が聞こえ続けていたわけなんだけど、ある時それが限界になって。
なんでもいい、楽しくなくて良いから「死ぬこと」以外のことを考えたい。
そう思った。
そんな時、ふと思い出したのが大学時代の友達との会話。
その友達が「最近アニメにハマっててさ」って飲みの席で言ったことを思い出した。
もう10年以上前になるのか、「魔法少女まどか☆マギカ」というアニメ。
友達はオタクっぽくない感じだったし、私はああいったアニメを嫌悪してたから、その時は「お前キモオタかよ~」なんて笑いあってたな。
そんなことをふと思い出した。
面白くなくて良いし、なんでもいいから。
死ぬこと以外を考えて時間をつぶせるなら、とそのアニメを見た。
結果、ドハマりしたんだよね。
もう考察が楽しくて楽しくて。
このシーンのこのセリフは、どんな意味で言っていたのか。
何故このシーンの背景にこれが映りこむのか。
そこにはこんな意味があるんじゃないか、こうじゃないか。
ネットで考察記事を読み漁った。
このアニメがどんな風に出来ているのか、知るのが楽しかった。
それまで自分がそんなものに興味があるなんて知らなかったし、アニメなんて気持ち悪いもの、嫌悪の極みだった。
楽しいことが見つからない、何が楽しいのか自分でも分からない。
そんな閉塞感の中にいて、もがいてもがいて。
ある時、ふっと天から降りてくるような感じ。
そういえばあの時…とか、たまたま本屋で見つけた本に妙に惹かれて…とか。
どん底の中にいるときこそ、新しい楽しさが見つかるチャンスなのだろう。
そう思う。