山ほどある互いにネジ一つに至るまで互換性の全くない農機具。私もメーカーで企画部にいたから理由はよくわかる。互換性を保つには一貫した設計し思想がないと出来ないからだ。一方、技術の進歩についていく事がメーカーの命運を決める。できれば他社に先んじて先行技術開発に投資して、新しい技術でブルーオーシャン航海の愉しさを謳歌したいのだが、そんなに世の中甘くない。発売したその日に他社に買われて分解分析されて1週間もあれば対抗商品案位出来てしまう。従業員を露頭に迷わせたくなければ、なんとしても需要拡大期までに対抗商品を発売する事だ。こうした開発戦争では互換性は問われない。マキタの電動工具にしたところで、互換性のあるのはバッテリーのみで、後のパーツは一発屋のそれだ。あっという間に廃番、家電のように修理パーツの保管期間などないのではないか、第一家電なら当たり前の一年保証とかはない。保証されない商品というのが農機具なのだ。

 

だから、自分で上位下位互換性のある仕組みを考案してそれを実行に移すしかないのだ。中山間という平野部ではない農地を持つほとんどの日本やアジア、いな全世界の農民は互換性のない農機具を中古で買い、すぐ壊れ倉庫の大部分が占有されて、ゴミ屋敷ならぬゴミ倉庫化している。創業時のApple社のような農業ジョブスが必要だ。

 

中山間農家の主な仕事は「草刈り」だ。昼も夜も一年中草刈り。嫌になると言うより、辞めたくなる人が続出して、結果日本の農業人口は100万人となった。つまり100人に一人しか農業してなくて、残りの99人の食生活を支えている。自給率10%だから、本当に支えているのは9人なのかもしれない。それに9人だろうが99人だろうが支えている人の数に比べて収入の低い事よ。若い後継者なんて育つわけがない。

 

要するに日本の歴史的農地の大部分を占める中山間での農業効率を上げ、3K(汚い、キツイ、危険)を解消し、収入をあげる方策が必要なのに、国方針は大規模欧米型農業に向かっているという大間違いに根本原因がある。

 

だから、農業用Apple製品が必要なのだ。