宗教 1
全く初歩的なことですが「宗教」という言葉のあやふやさを認識していない人がとても多いと感じています。明治維新までは「宗教」という言葉は日本にはなかったのですが、開国とともに大手を振って入ってきた聖書を聖典とする信仰を指す「Religion」を日本語に訳す必要があり、「宗教」という言葉を創作したのです。そのおかげで本来は「Religion」ではない仏教も「Religion」にしてしまった。「Religion」の語源はラテン語の「Religio」で、「再び契る」という意味です。「原罪」により楽園から追い出された人間が楽園に戻るために、全能の神「God Almigty」と再び契るということを大前提としています。つまり、「Religion」が意味するのは一神教信仰であり、信仰対象との関係は垂直的であり、従属的です。これに対して、日本には 「Religion」のような一神教の伝統はありません。「八百万神」に象徴されるような限定しない信仰対象を持っていました。共生していることが前提であり有機的です。信仰対象との関係は極めて水平的であり、信仰対象との「契り」は存在しませんでした。つまり、神道や大乗仏教は「Religion」ではないのです。この部分を明確にしないと勘違いが起きるし、起きている。