映画「ライフ・オブ・パイ」のポスターに燦然と輝く勲章? 『文科省特別選定』とは??
→『文科省特別選定』とは、「教育映像等審査制度」に基づいて文科省に選定された映像作品のこと。
かいつまんでいうと、「子供に悪影響がなく、かつ教育上の価値がある」映画であることを文科省として認めますと言うことでしょうか。
「ライフ・オブ・パイ」をご覧になったらわかると思いますが。。。この映画のオチはパッと見で子供に悪影響のような気がします。(カニバリズムやジュブナイル殺戮の隠喩で辛すぎる)
ですが、何日間もこの映画のメッセージを考えてみると、この映画こそ、人間哲学の超平等な教科書であることが分かりました。(一般的には勧誘的洗脳的教科書が常の世の中だから)
一瞬、「文科省の目は節穴かい!」と心の罵声をうなった自分がとてつもなく恥ずかしくなりました。ごめんなさい。
私は超無神論者ですが、「ライフ・オブ・パイ」は「神様はいるのか?」「宗教は必要なのか?」「肉食動物としての人間」「殺生に食物連鎖」etc。。。そういった宇宙的な哲学テーマに対して、どんぞこに残虐の現実という悲話を今の技術で表現できる最高の美しい映像寓話に消化するとこによって、さらに平等な視点でひとつのアンサーを描いた、本当に価値のある映画だと思います。
映画の途中で泣きませんでしたが、こんな素晴らしい映像体験をさせてくれたアンリー監督や原作ヤンマーテルさんはじめのクリエーターの方たちを思い、泣きました。
こういう気持ちになると思い出すのがポール(マッカートニー)のあの名曲の一節。
「Take a sad song and make it better」
辛い現実から目を離すのは簡単ですが、伝え・記憶するもの大切なこと。この映画の表現手法こそが真のアートであると、私は思うのですが。。。
ちなみに「教育映像等審査制度」の審査基準は次のとおり。
第四条 審査は、申請された映画等のもつ教育上の価値を主とし、次に掲げる基準に従つて行なう。
一 内容について
イ 正確なものであるか。
ロ 信頼できるものであるか。
ハ 時代の進歩に応じているものであるか。
ニ 心身の発達段階に応じて理解しうるものであるか。
ホ 生活、経験及び興味に即しているものであるか。
ヘ 経験領域を拡充し、豊かにするものであるか。
ト 思考力及び批判力をかん養するものであるか。
チ 教養を高め、生活の向上に資するものであるか。
リ 豊かな情操を養うものであるか。
ヌ 倫理性を高めるものであるか。
ル 学校教育用教材については、幼稚園教育要領又は学習指導要領に示されている教育課程に対する配慮がなされているか。
二 表現について
イ 意図しているものが表現されているか。
ロ 画面が鮮明であるか。
ハ 色彩が適切であるか。
ニ 用語が平易かつ妥当であるか。
ホ 解説に頼りすぎていないか。
ヘ 解説と画面との結合が適切であるか。
ト 録音が適切であるか。
チ 紙質及び印刷が適切であるか。
三 指導書又は解説書について(スライドに係るものに限る。)指導書又は解説書が適切であるか。
第五条 映画等の審査にあたつては、前条に規定するものの外、左の各号に
掲げる事項についても留意するものとする。
一 風教上好ましくないものではないか。
二 商業的又は政治的な宣伝意図の顕著なものではないか。
三 安易な模倣を誘発し、社会的悪影響を及ぼす虞れのあるものではないか。
四 その他中正を欠く意図が感じられるものではないか。
審査にもれた作品の興業収入への影響を配慮してのやさしさ条項もあります。
第九条 選定教育映画等とされなかつた映画等については、審査の結果を公表しないものとする。