ケン「そうだな。ではボクの話はこれぐらいにしてキミについて話をしよう」

 

 

----------つづき--------------

 

けん「よろしくお願いします」

 

ケン「ああ。じゃあ最初の疑問にボクなりに答えよう。「生きるってどういうこと?」「生きる意味ってあるのか?」だったな」 

けん「うん」

 

ケン「人の生きる意味は正確には半分あって半分無い」

けん「え?なにそれ。半分??」

 

ケン「そう、半分」 

けん「どうして半分なの?」

 

ケン「半分という捉え方が合っているかはわからないが、生きることについて考える対象が二つあるということだ。どちらで考えるかで大きく変わってくる」 

けん「二つかぁ。それは何と何?」

 

ケン「「自分」なのか「人として」なのかだ」 

けん「えっ?それって同じじゃない?だって僕は人間だよ??」

 

ケン「そう。キミは人間だ。だが「人の生きる意味」「キミの生きる意味」同じとは限らないということだ」

けん「そうなのかなぁ」

 

ケン「つまり大きく人として考えるか、小さくキミ個人として考えるかってことだ」

けん「なるほど。「僕」か「人」かってことか」

 

ケン「少し話が難しくなってしまったな。結論から言おう。「キミとして」の生きる意味はある。だが「人として」生きる意味は別に存在しない」 

けん「なるほど、僕にはあるんだ。でも人としてはないの??」

 

ケン「ああ」

けん「そっか、ないのか」

 

ケン「落ち着いて考えればわかるはずだ」

けん「どういうこと?」

 

ケン「ヒトとして生まれてくることは、言い方が悪いがただの偶然だ。たまたまなんだよ」

けん「たまたま?」

 

ケン「地球という星がたまたまあって、そこにたまたま人間が生き延びられた。そこでたまたま人として生まれた。そこに深い何かの意味なんてないよ」

けん「はあ、そうなんかねぇ」

 

ケン「ヒトとしてたまたま生まれた。だから生き物として死ぬまで生きる。ただそれだけだ。だから半分意味はないといったんだ」

けん「そういうことか」

 

ケン「もしそこに意味を探そうとしている人は、おそらく死ぬまで見つからない」

けん「・・・・・」

 

ケン「だが人間の社会で生きるものとしては、そこに意味が必要だったりもするんだ」

けん「社会?」

 

ケン「ああ。人は比べる生き物だからな。自分より優れている人、幸せな人を見ると自分と比べてしまう

けん「うんうん」

 

ケン「劣等感や嫉妬心、いろんなものが重なって最終的にたどり着く」

けん「どこに?」

 

ケン「「自分の生きる意味は何なんだろう」ってね」

けん「ああぁ・・・・・・・・・・・それ僕じゃん

 

ケン「気づいたか」

けん「うん気づいたよ。そうかぁ。僕はそうやってきたんだぁ」

 

ケン「キミは、意味のないところで悩んでいた。別に人として生まれてきたんだから人として生きていけばいいだけだ。生物としてはね」

けん「そうだね」

 

ケン「だがキミという心を持った人間としてはそこに何か意味はあるのかもしれない」

けん「うん」

 

ケン「だからキミが生きる意味はあると思うよ。それはあるというよりは見つけていくといったほうがいいかな」 

けん「なるほど、自分で見つけるんだね」

 

ケン「そうだ。だからキミの人生は、ある意味「生きる意味を探す旅」でもあるということだ。それはキミにしか見つけられないし、見つけるという目的があるという意味ではキミに生きる意味はあると思うよ」 

けん「なるほどね。でもそんなものあるかなぁ」

 

ケン「こればっかりはボクにもわからない。これは初めから用意されているわけではないから。もちろん人の社会の中には用意されて生まれてきてしまうと考える人もいるだろうし、実際存在するかもしれない。人はそれを定めとか運命とかいうかもな」 

けん「運命かぁ」

 

ケン「キミは考えたことがあるかい?」 

けん「ん~定めとかはないけど、運命とかはよく聞くよね。運命の人との出会いとか、自分はこうなる運命だとか。結構よく聞く」

 

ケン「そうだな」 

けん「でも、ちゃんと自分に置き換えて考えたことはないかなぁ」

 

ケン「だろうね。まぁ知っていて聞いたんだが」 

けん「え??なにそれ、ひどくない??(笑)」

 

ケン「どう答えるか聞いてみたかった」 

けん「はぁ・・・キミも意外と性格悪いよね」

 

ケン「策略家と呼んでくれ」 

けん「呼ばん!」

 

ケン「キミも冷たい奴だ」 

けん「冷たくないし」

 

けん「じゃぁどこが冷たくない?」 

けん「・・・・・体温はちゃんとある。人のぬくもりはちゃんとあるし」

 

ケン「ふーん」 

けん「何??」

 

ケン「その体温の中にいるボクにはその温もりを感じないのだが」

けん「・・・・・なんか変に勘違いされそうな言い方だね」

 

ケン「事実だ」

けん「はいはい」

 

ケン「勘違いしすぎはキミだろう」

けん「そんなことないし」

 

ケン「まったく、何考えてるんだか」

けん「だから考えてないし」

 

ケン「・・・・・まぁいいだろう」

けん「なんか感じ悪いなぁ」

 

ケン「気のせいだろう」

けん「はいはい。んで、その体温とやらを感じてどうするのさ」

 

ケン「どうもしない」 

けん「ぶっ!じゃぁいいじゃないかよ!!」

 

ケン「良くはない」 

けん「なんで」

 

ケン「たまにぬくもりは感じてみたいものだからな」 

けん「なんだそりゃ。別に感じなくてよろしいですぅ!」

 

ケン「どうして?」 

けん「どうしても!!」

 

ケン「キミはやはり冷たいな」 

けん「はいはい、冷たくてけっこう」

 

ケン「たまにお互い入れ替わってもいいと思うのだが。以前はよく入れ替わっていたしな」

けん「それは必要な時だけでしょ」

 

ケン「今必要だ」 

けん「なんでだよ」

 

ケン「ぬくもりを感じるために」 

けん「はぁ・・・・まったく・・・・・・・・」 

 

 

 

-------------⑩につづく-------------