島村ギルガメッシュは戦車砲の砲門を凝視する。そこから2秒ほどの長い間隔が開いて、
「ぐわっ」
またあの爆発が私の情けない呻き声を出させる。
島村ギルガメッシュといえばその爆発を大ジャンプでかわしており、空中で対物ライフルを構えている。
が、
「く、どこも貫通せぬか……!」
と文句を漏らし、その対物ライフルを発砲せずに投げ捨ててしまった。彼女はそのまま戦車の砲塔上面に着地し、砲塔の出入り口であるキューポラのとってに手をかけようとする。
ふと、何か違和感を感じ、あの死んだ魚のような目をした黒い男を見てみる。するとあろうことか、あの男はグレネードランチャーを島村ギルガメッシュに向けていた。そんな光景を見て咄嗟に、
「島村さん! 後ろ!」
と、つい叫んでしまった。
その声に瞬時に反応した彼女が片足を軸にぐるんと一回転。黒い男を目視する。
「戯け! あれは攻撃ではない!」
「え?」
一瞬言葉の意味がわからなかった。彼女の言葉の意図が全くつかめず、どういう意味だろうと思った瞬間、痛みが目と耳を襲った。
「そういうことかー!!!」
スタングレネード、強烈な光と音でグレネードの爆発周辺にいる人物の動きをとめる武器。あの黒い男はグレネードランチャーでそれを撃ったのだった。
幸い私は爆心地からかなり遠かったので耳のダメージは瞬間的なものだったが、目のダメージは普段からパソコンを見続けている私にとって距離があろうがなかろうが相当なものだった。ああ痛い。涙がとまらないよ、何とか目を開けれそうだけど開けたら痛そうだよ。あ、目やにとれた。
「はっ、オレの霊基の特性を知っていようとオレの神性はそうそう弱まらんわ! 判断を誤ったな雑種!」
という叫びがわずかに聞こえた。
その直後、強風が突然吹いてきた。ただでさえ視界が奪われて平衡感覚が死にかけてるのにこんな強い風では転倒しかねない。いや、ちょっと待って、これ平衡感覚あっても転倒する。転倒というか吹き飛ばされる。やばい。何この風。助けて。
「エヌマ……