チョコレートドーナツ
劇場公開日
2014年4月19日
舞台は、1970年代のカリフォルニアである。
ショーパブでダンサーとして働いていた「ルディ」は、将来は歌手になる、といつも考えていた。
そして、彼は、「ポール」という男性に一目ぼれし、ついにはゲイ同士のカップルになってしまうのだ。
「ポール」は、腕の立つ弁護士であった。彼は、職業がら、ずっと自分がゲイであることを隠し続けてきた。
そんなおり、二人は自分たちのアパートの隣の部屋に、母子家庭の二人が住んでいることを知る。だが、あろうことか、その母親は育児放棄をし、ついには薬物所持により逮捕されてしまった。
一人息子の「マルコ」は、強制的に母親から引き離されてしまったのだ。
「ルディ」は、ダウン症児の「マルコ」に同情し、「ポール」にも相談した。そして彼は、本当の父親のように接するのだった。
やがて、「ポール」は、弁護士の知識を使い、二人が「マルコ」の保護者として法的にも認められる手続きをとるのだ。
ただし、このとき同性愛者であることは隠していた。
「マルコ」が大好きなものは、ディスコダンス、それにハッピーエンドのおとぎ話。そしてチョコレートドーナツだった。
「ドーナツは体に悪いから食べさせないで」と主張する「ルディ」に、「たまにはいいじゃないか」と「ポール」が夕食にチョコレートドーナツを出した。すると、「マルコ」は本当に嬉しそうにほおばるのだ。その少年の喜ぶ顔は、二人を幸せな気持ちにさせるのだった。
こうして、三人は一緒に暮らしていた。だが、その幸せは長くは続かなかったのだ。やがて、その幸せな1年がたったある日、あろうことか、ゲイカップルであることが周囲に知れ渡ってしまうのだ。
まだ、当時は、同性愛者に対する無知・偏見・無理解などはほとんどであった。
ついに、ゲイカップルでは、「マルコ」の保護者としてふさわしくないとされる。
とうとう、「マルコ」は母親と引き離された時と同じく、施設に送られてしまうことになる。
もちろん、「マルコ」を手放したくない二人は、裁判に挑むことを決心する--
結末はあえて伏せておく。ゲイカップルとダウン症というシビアな題材ながら、魂を揺さぶる感動作に仕上がっている。
ゲイ・ムービーの傑作と評価された人間ドラマだ。見逃した人には激しくおススメ!