夫の時計

いくつか持っていたけど、仕事の時や普段使いにしてた時計

あの日つけたままだったのかテーブルの上に置いていたのか

今となっては思い出せない

 

夫が亡くなって義父につけてもらうことにした

でも1年足らずで義父も亡くなってしまい、私のところに戻ってきた

お仏壇の夫の傍に置いていたけど、止まってることに気づいた

夫がどんどん過去になっていく

 

またあの日と同じ季節がやってきた

大嫌い

仕事が終わって自宅に帰りつく薄暗さ

あの日もお彼岸の時期だった

あんなに静寂が嫌だったのに常に見もしないのにテレビ付けてたのに

今、付けてない時間があるのに気付いた

これが時間薬というものなのか

なんか寂しい…

でもこうやって日常を取り戻していくものなのかな

夫がいない

この事実は消えないけど

残された者は生きていくために

こうやって時の流れに身を任せていくものなのかな

考えたら辛いけど

仕方がないこと……