眠れない夜に

誰がぼくを思い出してくれるだろう
工事現場の荷揚げ男
時には朝までくたびれ
缶コーヒーの甘さに情緒を揺さぶられ
女嫌いのくせに
女を探しに行く無名の　　　　　　　　　　　　　　ぼくを
誰がぼくを思い出してくれるだろう
お酒に強くなろうとして
酒に溺れて
恋人に見縊られ
自分の吐いた血痰を一晩中眺めていた　　　　　　　ぼくを
誰が思い出してくれるだろう
中学の成人式
友達がいず
初恋の相手に会うのが恥ずかしく
断念した第43期成人式
対人恐怖症の　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぼくを
貧しいホテル街の
あるいはやくざの目抜き通り
コインランドリーの片隅
または不成功という名の翼を背負い
失敗という人生の名の孤児院の
飢えた一億人が生み出したおばけ
なぁ記憶しておいてくれよ
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は
ぼくの名は