「ん……」
見慣れた天井、遮光カーテンから漏れる日光が体に染みる
起きたばかりで重い身体を持ち上げ布団から出、いつも通り顔を洗い、歯を磨き、髪を整え、食パンを一枚トースターにねじ込む
「あ、れ?」
だんだんと目が覚めて昨日の事を思い出していく……
「昨日屋上から落ちて……病院でも無いし一体……」
可笑しい昨日確かに僕は屋上から飛び降りそして駐車場に落ちた……はず
落ちた所までは覚えてるそこから先は一切無い朝までに何かがあった、のだろうか?
時計は六月二六日を表示しているそう僕が飛び降りたのは二五日、時間は経過している何かの拍子に戻ったわけでも無さそうだ
そんな簡単に時間を戻されてもたまったもんじゃないが……
トースターか食パンが飛び出るどうやら焼けたようだ……こんな時にどうかとも思うが空腹には勝てそうにない……流石三大欲求が一つだ
「さてどうしたものか、また夜になったらリトライするかな……」
こんがりと色づいた食パンを頬張りながら色々と考える
「まあ書き忘れてた遺書でも書くか」
そうと決まればさっさと遺書を書いてしまおう
まだ残るトーストを口の中に押し込み、机の引き出しからノートを取り出す
「でもノートってのも泊がつかないかな?まあ自殺志願者が何を言うって話なんだけどさ……」
どうせ最後だ貯金した仕送りだのバイト代だのを使っていい紙でも買いに行くか
箪笥に押し込まれたシャツとズボンを引き出し、制服を脱ぐ
「制服のまま寝てたら鏡花に怒ら……」
そこで口を継ぐんだ
さっさと服を着替え玄関に向かう
かかとが潰れたスニーカーに足を突っ込みドアを開ける
「あっちゃー雨降ってるよ……無いわぁ」
そりゃあ梅雨だ昨日も降ってたけどまだ降ってるとはなぁ
使い慣れたビニール傘を開き、雨の中に出ていく。
少年はまだ知らない自分が人間を やめたことに
つづく