「忘れたわけじゃないんだ、思い出せないだけなんだ。」
私がそう言うと、彼はこう答えた。
「大丈夫、君が忘れても、僕が覚えているから。」
暗い夜の中、迷子になったこの世界で、出合ったばかりの見覚えのある男の子。
どうして私を知っているの?
「僕たちが全てだったときのこと。
僕たちは、長い間心の奥深くを探検してきたんだ。
深淵を覗くのは怖いかい?大丈夫、一緒に見てみよう。
ほら、小さな光が見えるでしょ?
深淵の底は、水鏡になっているんだ。
水面に映るのは、月明りではなく君の内面からの光だと、君が知る時に約束は果たされる。
早く会いたいね。
忘れないで、僕はいつでも、あらゆる時の中で君を待っているよ。」
そこで夢から覚めた。
さっきまで夜の闇の中にいたのに、今は朝の光の中だ。
2022年冬至