平手さんが脱退してからグループは
改名され新たに活動を始める事となった。
私も目まぐるしい日々を過ごし、
1日1日を頑張ってしがみつきながら
過ごすのがやっとという生活を送っていた。
時々あの夜を思い出しながら…。
そんな生活にも慣れ暫く経ったある日
久し振りの休暇が入った。
何しようかなぁ…なんて考えてると
スマホにメッセージが届いた
画面を開き送り主の名前を見て
思わぬ人物からのメッセージで2度見した。
「平手さん……⁈」
ー今晩空いてる?ー
絵文字を使わない辺り平手さんらしいなと
思いながら思わぬお誘いに返信に迷う
もちろん空いてるし何なら会いたいけど
どう返そう…⁇
「お久し振りです……んー、これは
堅すぎるかな…」
打っては消してを繰り返し
結局…
ーはい!空いてます!ー
シンプルな返信にした私。
ピコンッ
え,返信早っ!!
ー良かった、じゃあ今日迎えに行くから
住所嫌じゃなったら教えて欲しいー
迎え!?そんな申し訳ない…
思ったことをそのまま伝えるとまたしても
早い返信が来た
ー気にしないで私が行きたいだけだからー
ッ……全くこの人は……
住所を教えると迎えに来る時間を
送られてきた
それにしてもどこに行くんだろう…⁇
服装迷ったりメイクをしたりと
時間があっという間に差し掛かっていた
ピコンッ
ー下に着いたよ、いつでも降りてきて
大丈夫だからゆっくりおいでー
何て優しい人なのだろう…
って!浸ってる場合じゃない!
「えっと、これとこれをバックに詰めて…
よしっ!!」
最後に全身鏡で自分の姿を確認して
玄関を出る
どうしよう…
今になってすっごく緊張してきた
エントランスに続くエレベーターに
乗り込み下に着くのを待ってる間
急に緊張が立ち込めてきた。
でもエレベーターは待ってくれない。
エントランスに着きオートロックの
ドアを抜けるとタクシーの横に立ってる
平手さんが見えた
私の姿に気が付きこっちと手招きをして
運転手さんにドアを開けて貰っていた
「お久し振りです…」
「久し振り、はい,乗って」
先に乗るよう促されてタクシーに乗り込む。
乗る瞬間、頭上がぶつからないように
縁に手を添えてた平手さん
何もかもがスマートすぎる…。
「運転手さん先ほど伝えた目的地まで
お願いします」
「かしこまりました。」
運転手さんには事前に伝えていたのだろう、
早速目的地まで車を走らせた。
「あの…」
「ん?」
「どこに行くんですか…⁇」
「内緒」
唇に指を当てシーってする平手さん
何もかもが絵になる
窓の外を眺めていると冬だからか
17時ごろになるとオレンジ色の空から
だんだんと紺色に染まっていく空が見える
車内は静かで心地よい揺れに
目が閉じそうになるのを我慢してると
「まだもう少し掛かるから寝てていいよ」
それに気付いた平手さんから言われ、
お言葉に甘えて目を閉じる事にした。
隣で優しく微笑んでる平手さんに気付かず…
「ーーーー…きて……起きて、着いたよ」
「ん……あ、ごめんなさい!
結構寝ちゃってました!!」
「フッ…大丈夫だよ
支払いも済んだから行こうか」
運転手さんにお礼を言ってタクシーを
降りるとそこは……
「水族館……⁇」
「そう、水族館。
今期間限定でクリスマスまで夜も
開けてるらしいんだ」
「そうだったんだ…知らなかった…」
割と水族館行くし定期的にサイト見たり
してたのに知らなかったな…。
「チケットも取ってあるから
早速中に入ろう」
何もかも準備が良すぎる…
手慣れてるのかな…。
嬉しい反面少し胸のどこかがモヤモヤする…
なんだろうこの感覚…。
館内に入るとクリスマス仕様に装飾され
神秘的な空間がそこに広がっていた。
その空間に癒されてる間も平手さんは
静かに微笑んで私を見ていた
心なしかその瞳がすごく優しくて…
勘違いしそうになる…。
「もう少し付き合って欲しいところが
あるんだ」
館内を出るとそう告げられ
私の手を掴んだ
言われるままにされるままに着いていくと
水族館の裏側にある公園らしき場所に着いた
その公園の高台を登りきると…
「空観てごらん」
上を見上げるとそこには…
「うわぁ………!」
都会とは思えないほどの無数の
キラキラ輝く星達がそこには広がっていた。
「水族館の後にこれを見せたくてさ。」
「すっごく綺麗ですっ!」
「喜んでもらえて良かった…」
「………他にもここに連れてきた人
居るんですか…?」
「え?居ないよ?」
「そうなんですか?」
「うん、次ひかると会える時は
あの日観た星と同様に綺麗な星を
観せたくて実は色々調べてたんだ。」
「えっ…」
「そしたら、ここを見つけてさ…
ひかる水族館も好きだって聞いたから…
丁度いいじゃんってなって…
嫌だったかな……⁇」
そんな眉下げて嫌だったかなんて
聞かれたら誰だって嫌じゃないって
応えるに決まってる
「嫌じゃないですし寧ろ…
嬉しすぎて涙出てきそうです…」
「良かった…」
安心したように笑って見せた平手さん
なんか…1人で勝手にモヤモヤしてたのが
馬鹿らしく思えてきた…
ん?……何でモヤモヤしてたんだろう…
このモヤモヤって……やっぱあれだよね…
嫉妬ってやつ……⁇
ありもしない事に私は嫉妬してたの?
なんて恥ずかしいやつ!!!
平手さんの何者でもないくせに!!
「ひかる?」
「あ、はいっ!」
「どうした?」
「あ、いや……あ!!!流れ星!」
「えっ!どこ?」
「あそこ流れ星が…」
横を向くと思ったより近くにいた
平手さんの顔が…目が合うと
お互いに逸らせなくなっていた
「ひかる…」
「は、はい…」
「来年も再来年もその先もずっと…
色んな景色を2人で見ていきたい。
ひかるの事すごくすごく大事に想ってる。
それに誰よりも大切にする…。
だから…私とこれからを一緒に過ごして
くれませんか?」
思わぬ言葉に胸が物凄いスピードで
脈打ってる
瞼に熱いものが込み上げてきて
今にもこぼれ落ちそうになる…。
「私もずっと……平手さんのこと
考えてました……こんな私で良ければ
お願いします…」
「本当…⁇」
「はい…」
頷くとキツく、だけど凄く優しく
私を抱き締める平手さんの背中に
腕を回す
「嬉しい………
ありがとう…」
「こちらこそ……私も凄く嬉しいです」
「それに"こんな私で"じゃなくて
ひかるだから好きになったんだよ?
ひかるじゃないと嫌だ」
「平手さん…」
あぁ、この人の言葉は
なんて温かいのだろう…。
心にスッと入ってくる…。
「あとさ、平手さんじゃなくて
別の呼び方がいいな…」
「えっ……なんて呼んだら…」
「んー、友梨奈」
「ゆ、友梨奈……」
「ハハっ!ちょっとぎこちないけど
今はそれでいいや。
あ,あと敬語も無しで」
「うん…分かった」
嬉しそうに笑った後、静かに目を閉じ
顔を近づけてきた
唇と唇が触れる瞬間
全身が緊張で固まってしまった私を
笑いながらも優しく頭を撫でてくれた
平手さん
全ての行動が優しさで埋め尽くされていて
世間は何でこんな素晴らしい人を厳しく
評価するのだろうか…と頭を抱えそうになる
でも今はこの幸せな瞬間を思う存分堪能
するとしよう…
この星降る夜に貴方と結ばれた奇跡
2度と手離さないように……。
fin.
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『君と観た星』の続きです!
大晦日ですね。
皆様良いお年を…!!!!!!
ynke