この期に及んでじたばたしてもどーにもなるもんではない、くらいの達観した気持ちでいてくれるのが理想なんだけど、まあなかなかそうはいかないよね。
というわけで、どうにもこうにも気持ちが高ぶって落ち着かないとか、不安に押し潰されそうで夜も眠れない、というあなたのために。
まず一つ。センター英語は「bestを狙う」べきものではありません。特に、180点から上の得点は正直言って運に左右される部分も大きいです。受験生時代の私は普段から安定して180点はキープできていたのですが、本番は気負いすぎたのか何だかわかりませんが大コケして、全教科中最低の点数をたたき出してしまいました。こういう「worstを避ける」ことを心がけよう。
つまり、ミスはするんです。必ず間違うんだ。自己最高点なんてとれやしないんだ。それぐらい大らかに構えておかないといけない。
特に、第2問のAなんて満点を取ろうとしてはいけない。難しいですよ、あれは。ところがみんなあれを満点とろう!と気負いすぎるから実際の問題を前にしてあたふたして、他の問題にも影響がおよび、それがまた他の問題に…というvicious cycleに陥ってしまうわけです。
というわけで、今年受けたセンター英語模試の中で一番悪かった、できれば、「予想に反して」悪かった模試を引っ張り出して、その時自分がやらかしていたことを振り返ろう。それを明後日やらなければいい。
そして二つ目。もうここまできたら自分におまじないかけるしかないね。というわけでやってみよう。今年一年、自分が勉強してきたテキストを全部引っ張り出して、積んでみよう。どれくらいの高さになりますか。ちなみに、私のオリジナル単科だけでもこれだけの高さになります。
高さ9.9mのジェット機(ブラジル・エンブラエル170。小型のボディに積まれた強力なエンジンで、暴力的な加速を楽しめる。)を遥かに超えるこの高さ。私のテキストだけでもこれだけの高さになるんですよ。「先生、夏期の後半と2学期の後半は同じじゃないですか」「一学期の最後10ページくらいってやってませんよね」そういう内部情報はリークしなくてよろしい。私のテキストだけでもこれだけの高さになるんですよ。他の英語のテキスト全部積んでごらんなさい。軽く成層圏を突破するくらいの高さになるはずです。
それだけの量をあなたはこの一年間こなしてきたのです。その量は今までに読んだ英語テキストの何倍になりますか。そこに、レベルの高さを加味したら実質的には月のうさぎのモチの中に突っ込むくらいの高さになるはずです。
あなたはそれだけの経験を積んできたのです。その経験はあなたを裏切りません。
これだけの質と量を併せ持った英文と今までにどれくらい向き合ったことがありますか。おそらく、今までのどの一年に比べても圧倒的に充実した知的生活を送れてきたはずです。それは、明後日あなたの周囲を取り囲むどの受験生にも絶対に負けることはない。
昔、一橋大に合格できた生徒にこう言われたことがある。「試験中に先生が乗り移ってきた感じになって、すいすい解けました。」英語に限った話ではない。他の教科だってそうだ。あなたにもいろんな講師達が乗り移っているはずです。
そういういろいろな講師達の影、ちょっとアクの強い影を、あなたはシールドとして身に纏って試験会場に乗り込めるのです。こんな贅沢な受験ができるというのに、何に不安を感じる必要があるというんだい。
「影のどれもが濃すぎて体からとれなそうで怖いです」大丈夫、入試が終わってから5万回くらい除霊しよう。「ギャグがすべることに抵抗がなくなったらどうしてくれるんですか」よし、その責任は私が持とう。どんなにギャグがつまらなくても、よく噛む影でも、入試の守り神としてはいい仕事してくれるはずですよ。
代ゼミの最強の講師達が届けてくれたこの一年間の発見と感動と知的興奮を今一度思い出してみればいい。そんな贅沢な経験をできてきたのは、明後日の試験会場となる教室の中でただ一人、あなただけです。
背中を丸めたらその分だけ影も小さくなってしまいます。胸張って、試験会場の門をくぐってください。