『それを…返して』
え?
僕の脳内に、凛とした優しい声が聞こえる。
けれど、その声はどこか泣いているような悲しげな声色だ。
思わず驚いて尻餅をついた。
そして、
何故か分からないが僕も悲しくなる。
(どこに返せば…いいんだ?)
脳内の声に必死に向き合おうと問いかける。
『私の…大事なもの…』
脳内の声に、僕の声は届いていないのだろうか。
声の悲しさが変わらない。
解らなくなって、何とも言えない疲労感と共に空を仰いだ。
それと同時に、
(僕は…、このペンダントを持ち主に返さなくちゃいけない)
強くその重みを感じた。
何故僕がこんな目に遭わなくてはならないのだろう。
何故こんな世界で僕はこんな変なものを拾ったのだろう。
脳内に浮かぶのは全て疑問形で冷たい言葉ばかりだ。
そんなことを考える自分自身に腹が立ち、思わず自分の頬を片手で殴った。
当然の様に痛みを感じたが、目的を決めた、強く意思を固めた後では不思議と痛みも霞むらしい。
「六芒星のペンダントがなんだろうと…必ず送り主に届けて、きっといつかこの世界を脱出する」
そっと呟いて、僕はゆっくり立ち上がる。
「そうと決まれば、まずは…」
まずは何をするかと言いかけて僕は止まった。
(何をすればいいんだ…)
身体中に大量のハテナマークが張り付いたかのように、わからない。
そもそもこの世界の理も、教えも、何も知らない。
何せ目が覚めたらここにいたのだから。
「どうすれば…」
途方も無く歩き出した。
ー歩き出して、十分程度。
辺りは暗くなっていた。
(この世界では、夜になるのが早いんだな)
そんな呑気なことを考えながら歩き続ける。
仄かに食べ物の匂いを感じて、
ふと周りを見渡すと、西方向に灯りが見えた。
ーこんな森の中に、人が…
少し訝しげにも感じたが、今はそこを気にしている暇はない。
―食べ物は貰えなくても、話だけでも聞けたら。
その感覚で俺は灯りが見える方向に急いで向かう。
走り続けて息が切れそうになったが、それでも続けて走る。
やっと食べ物の匂いと灯りがもう少しだというのに、そこでプツン、と俺の意識は途絶える。
………。……………。…………………。
食べ物のいい匂いと、暖かくパチパチと鳴る音で目が覚める。
(…濤々死んで天国に居るのか…)
まだ現実味が理解出来ず、またもや現実逃避する。
トコトコと人の歩く音がして我に帰る。
(え…僕、人家に居る…?!)
驚きと自分に対する情けなさで脱力する。
「あ、起きた?」
僕に気がついて、黒髪の少女が微笑みながら聞いてくる。
「は、はい」
少女に少し警戒心を覚えながらも、冷静に応える。
「そんなに警戒しなくて大丈夫よ。あたしは、普通の人間だから」
少女の笑顔に僕の心は落ち着く。そして同時に警戒心が解れた。
「ありがとうございます…。僕を助けてくれた、んですよね?」
そう言いながら、思わず立って頭を深々と下げた。
「ええ、そうよ。でも、そんなに畏まらないで?」
何処が笑いのツボだったのか、クスクスと少女は笑う。
「私はヴィオラ。呼び捨てでいいよ。あと、敬語じゃなくて構わないわよ」
ヴィオラさ…じゃなくてヴィオラは微笑んだ。
「ありがとうござ…じゃなくて、ありがとう。僕の名前はルイ。宜しく、ヴィオラ」
って僕は言ってみる。けど、こんなに馴れ馴れしくして大丈夫なのだろうか?
「ええ、宜しく。ルイ」
ヴィオラはそう優しく微笑んだ。
思わぬ好感触で、僕の動悸は少し早くなる。
「ヴィオラ…助けてくれてありがとう。
そして、唐突だけど、この世界について何か知らないか?」
恐る恐る問いかける僕の声は、少し震えていた。
「この世界は…leaf world で、通常《葉の世界》なの」
葉の…世界…。
第二話 完
よろしくね(=⌒▽⌒=)






















































