5年前の春、2人の新社会人が営業としてある会社に入社しました。
体育会系の社風の猛烈な営業会社です。
1人はその年の内定者代表として入社式で答辞を務めるような、誰からも好かれる明るく社交的な若者でした。
もう1人は内気で人見知り、自分からは人に話しかけられず内定者の中でもあまり目立たない若者でした。
3年後の春、全国300名程の営業マンの年間成績が発表されました。
内気な若者は部署内ランキング1位、全営業マンの中でもトップ10の成績を納めていました。
答辞を務めた若者は入社半年後に辞めていました。
何が違いを生じさせたのか
一見、営業として成功しそうな社交的な彼と、営業に向いてなさそうな内気な彼との違いは一体なんだったのでしょうか。
実は内気な彼は外交的だった?配属された上司に恵まれた?答辞を務めた彼には目標達成意欲がなかった…?
二人とも入社式の日には目標達成する!と皆の前で公言していました。
違いは内気な彼は営業を行うときに「別の自分」を持っていたことです。
どういうことか?
「別の自分」というのは文字通り「営業をしている時は全く別の自分を演じる」ということです。
「えっ…そんなの無理。演じるなんて疲れてしまいそう。抵抗がある。」と思われたかもしれません。
その発想は間違いです。
「疲れない」ために「営業マン」という仮面をかぶってその役を演じるのです。
答辞を行った若者は半年で辞めてしまったとお話しました。
なぜか。
彼は素の自分のままで営業現場に出向いてしまったからです。
そもそもあなたが扱っている商品は簡単に売れるものではないハズです。
例えば飛び込み営業であれば数十人に一人でも話を聞いてもらえればいい方でしょう。
その日に契約をもらうことなど、商品にもよりますが極めて稀なことだと思います。
電話営業でも同様。
「けっこうです。」
「必要ない。」
「必要になったらまたこちらからお電話します。」
「営業の電話は取り次がないよう言われています。」
こんなセリフを1日に何十回も言われると「自分は世の中に必要ないものを売ろうとしているのか…」と気分も落ち込んでいきます。
次第に自分自身が必要とされていない、という感覚に陥り耐えられなくなり営業から離れて行くのです。
ですがよく考えてみて下さい。「必要ない。」と言われているのはあなた自身ではないのです。
あくまで「営業マンであるあなたが話す商品」が必要ない、と言われているに過ぎません。
ここは一つ肝になる部分ですのでよく覚えておいて下さい。
必要ないのはあなたではなく、商品を勧めてくる営業マンです。
逆の立場で考えてみて下さい。
いきなりチャイムが鳴って「一軒家買いませんか?」と営業マンが来てもまず話を聞きませんよね?
このとき、その営業マン自身が嫌いで断るのではないはずです。
一軒家を紹介してくる営業マンが今は必要ない、という判断から断っているだけです。
だからこそ断られる役割を自分の中に作るのです。
あなた自身が痛みを受けるのではなく、その痛みを引き受けてくれる「営業マン」という別の自分を演じることが肝になるのです。
「痛みを素の自分で受け止めない」
これが成果を出す営業マンの一つ目の違い「別の自分を持つ」ということです。
そしてもう一つ、売れる営業マンは「ある事実」を知っています。
その内容は…
次回に続きます。