外出自粛、営業自粛の影響を受け、

ちょっと前に話題になったタクシー会社の大量解雇。

業界は全く違う製造業だが同じようなことを取引先の社長がしていた。

 

おそらく影響を受けて仕事が減ると予測したこの中小企業の社長A氏。

会社都合であれば失業保険もすぐに支給されるし、休業手当よりは貰えるだろう。まずは退職してもらい、また忙しくなったら声をかけるから戻ってきてほしい、といって全社員の1/4程度の人数を整理解雇した。

 

一見、従業員のことを考えてくれていると感じるかもしれないが、結局はあたま数を調整する都合の良い言い訳に過ぎなかった。

なぜなら解雇されたのは

 

社長の独断と偏見による「要領が悪く使えない事務職」

勤続年数が短く「現場経験の浅い人」

一部上場から役職定年でいわば「天下りしてきた人」

 

結局、思ったより仕事が減らずに少ない人数では回らなくなり、現場の人間をすぐに呼び戻すことになった。

 

そもそもこのA氏というのがちょっとクセ者。

 

堅実だった先代と比べると派手好きでより大きな仕事を取りたがり、根回しに余念がなく、そのためなら大きな額の借金も厭わない。

まぁやり手なのだろうが、プライベートも派手。

バツイチで、仕事上のコネを作るために、最初の妻との子(男)には大企業の取引先を転々と潜り込ませ、二番目の妻とその間に生まれたまだ小さい女の子と共に、都内のとあるタワマンで暮らす。

 

 

こんな人の暮らしを支えるために従業員が雇用調整されたわけだ。

 

特にカチンと来たのは、

 

『大企業から来た奴は頭よくないし全然使えねーわ』

 

という一言。

 

指示されないと動かないとか仕事を自分で探さないとか、事務方は使えないだの散々愚痴りまくる。

中小企業は一人で何でもこなさないといけないのもわかるが、膨大な仕事量だから分業せざるを得ないのであって、そもそも仕事の仕方が全く違う。

中小企業の社長がやっていることは、大企業のせいぜい職場長(いま風にいうとプロジェクトマネジャー)程度の仕事だ。

散々働いてきて役職定年で天下ってきた人間を、それまでの経験を無視した破格の安い給料で雇用しておきながら、上昇志向を求め、給料以上の仕事を求めるのは酷ではないか?ボランティアじゃあるまいし。

 

単なる事務員の私が目の前にいるのに、A氏はベラベラと話していたが、さすがに社長は苦笑いしていた。

 

 

A氏もおしゃべりだが社長も「ここだけの話」といって拡散するタイプだから

それまで聞いていたA氏に関する情報と相まって、なんだか居心地の悪いひと時だった。