幻冬舎新書 鈴木伸元著 「性犯罪者の頭の中」を読了。今まで考えていたのとは違って、性犯罪者がやみくもに、被害者を狙っているわけではなく、被害者の行動や自宅などを調べ上げ、綿密に計画を練って、犯行に及んでいることが分かった。
また、性犯罪者が犯行を重ねるごとに、まるでゲームが上達していくように、犯行をスキルアップしていくことに、満足感を見出していることも知ることができた。そして、犯行を重ねれば重ねるほど、自分で自分のコントロールが利かなくなり、もはや自分の意志では止めることができなくなってしまう状態に陥るのだ。
刑務所では、性犯罪者の回復プログラムを行っているが、ある程度出所後の再犯を抑えることができるようだが、悲しいかな再犯をするケースもあるようだ。
本の中に、性犯罪者の回復プログラムを行っているクリニックの話が出てくるが、画期的なことだと思われる。そこでは、性犯罪者本人だけではなく、父親、母親、結婚している場合は妻に対するプログラムも用意されている。しかし、本人と家族の思いにはズレがあるようだ。
性犯罪者の犯行は、一種の依存症、すなわち「性依存症」と考えられており、根本的なところで、他の依存症、例えば、アルコール依存症などのようなアディクションと考えられるのではないだろうか。アルコール依存症者が酒に対して自己コントロールを失ってしまっているように、性犯罪者も犯行をコントロールすることができなくなってしまっていると言えるのではないだろうか?
私は、かつて、アルコール依存症の相談を受けていたことがあり、断酒会の例会にも度々出席して、酒害者の体験談、妻の体験談を数多く聴いてきた経験から、行動のコントロール喪失については、よく理解しているつもりだ。
アメリカでは1年から2年かけて矯正プログラムを実施するようだが、日本ではまだ年単位のプログラムは行われていないらしい。今後プログラムを充実させて、少しでも再犯率を下げていってもらいたいと思う。