20万年前、アフリカのある場所に、健康で免疫機能が高く、頭や反射神経もよく、目がよく、聴力やその他の五感が発達しており、怪我も病気も殆どなく、尚且つ容姿も優れた一人の女性がいました。彼女のことを仮にイブと呼びましょう。

2018年4月27日ヤフーブログに投稿した記事より

 

イブは若いうちに、健康な男性と結婚し、数人の女の子を含む大勢の子供達を生みました。その女の子達は皆やはり健康で、それぞれ若いうちに健康な男性と結婚し、数人の女の子を含む大勢の子供達を生みました。

その孫の女の子達はやはり健康で、それぞれ若いうちに健康な男性と結婚し、数人の女の子を含む大勢の子供達を生みました。

そしてそのようなことを繰り返すうちに、約6万年前頃、アフリカから他の場所へ移動するきっかけが起こり、ある集団がアラビア半島へ移動しました。

実は、その集団の人々は、全てイブの子孫達でした。

何故なら、イブは生存に適した条件が揃っていたため、その子孫達は、およそ14万年間の様々な環境の変化に適応することが出来、結局、自然淘汰の中で生き残ったのは、全て彼女の子孫達だったのです。

こうして次第にイブの子孫達が世界中に広がっていきました。あとからアフリカに残っていた他の様々な集団がアフリカを出ていきました。全て14万年間の自然淘汰で生き残ったイブの子孫達でした。

世界に広がったイブの子孫は 「環境適応に優れ、多産である」という特徴によってそれぞれの地域で生き残ることが出来、そこでさらに環境適応によって、肌の色や髪の色、眼の色などその他身体的な特徴や、言語、風習などが多様に変化していきました。

従って、我々現生人類はすべて共通の「イブ」という女性のミトコンドリアDNA(mtDNAはすべて母系)を受け継いでいるわけです。

そういう意味では「人類みな兄弟」というのは嘘ではありません。ですが、我々人類は「環境適応」によって増えすぎてしまったがゆえに生存に必要な食料や資源、つまりEEZなども含めた「領有権」や、政治経済という形での争いをすることになってしまったのです。そして、その生存競争は、民族や宗教という別の形に姿を変えて、「排他主義」を合理化しているのかもしれません。

一応、念のため、私は共産主義者ではありません。アメリカや中国(似非共産主義)のような「富の分配」が極端に偏った社会もどうかと思いますが。日本社会はそういう意味で自由競争原理と社会主義の中間にある穏健な社会だと思います。



人類の移動(画像はwikiよりお借りしました)

 


図の引用: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%96
    


「単一起源説」

「ミトコンドリア・イブ」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、これは、人類の共通の祖先は一人の女性のミトコンドリア(ミトコンドリアDNAは核DNAと違って全て母系)に由来しており、その女性が人類共通の祖先になる女性だから「イブ」と名付けられたものです。

 

この説を研究結果として発表したのは米カリフォルニア大学バークレー校のレベッカ・キャラン、アラン・ウィルソンのグループで、出来るだけ多くの民族を含む147人のミトコンドリアDNAの塩基配列を解析し系統樹をつくってみたところ、右図のように、アフリカ人からのみなる系統とアフリカ人と他の全ての非アフリカ人からなる系統に分かれ、これらの系統の全てが共通のミトコンドリアから派生したいることから、人類の共通の祖先は「アフリカにいた一人の女性」にたどり着くという結論です。この研究は1987年科学雑誌Natureに発表されました。

 

 

引用元:

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%96

 

http://www.gregorius.jp/presentation/page_15.html

 

 

 

この研究以前は、「多地域進化説」といって、各地域で見つかった化石人骨の形態人類学的な見地から、「人類は100万年以上前にアフリカを出た人類の祖先が、北京原人はモンゴロイドにへ、ジャワ原人がオーストラロイドへと同時並行的に進化を遂げたとする説が、1980年代後半まで有力でした。

 

これに対し、1980年代後半からは、先のグループの研究により、人類共通の祖先は20万年前にアフリカに生存したたった一人の女性にさかのぼり、それ以前にアフリカを出た人類も含め、そのほか全ての人類は現代に繋がる子孫を残すことなく絶滅したという「現生人類単一起源説」が有力となり、ほぼ定説となったようです。

 

この「単一起源説」には最初は、伝統的に自分たちが北京原人の子孫だと考えていた中国人やまた、オーストラリアのアボリジニー達には受け入れがたいものだったようですが、今日では「多地域(並行)進化説」は唱えられなくなったようです。

 

 

 

コメント

 

ミトコンドリア・イブは聞いたことがありますが、こうしてあらためてその遺伝子は遡ると一人に求められるというのに、ちょっとビックリします。

ただよく考えてみると、競争原理からすると当然のことかもしれません。現在残っていないのは淘汰されているのであって、結局今残っているのは淘汰されなかったのですから、それを遡れば一人に行きつくと、なんだかわかったような気分になっています。  
2018/10/24(水) 午前 0:57  泉城 

> 石田泉城さん
人工的淘汰の例が「平家蟹」だそうです。甲羅が人面のようで、海に沈んだ平家の武士の生まれ変わりだと思った漁師たちが、こういう甲羅の蟹は哀れに思って逃がしてやり、そうでない甲羅の蟹は獲って食べたことから、甲羅の特徴が武士の顔にみえるような蟹は人工的に生存確率が高くなり、繁殖し、甲羅の特徴が(自然淘汰ではなく)人工的に「増強されて」増えていったというお話しです。

この話を中学のころに新聞の「コスモス~宇宙」という連載記事の中で読んで「自然淘汰」とか「環境適応」とは、ということを漠然と理解できました。  
2018/10/24(水) 午前 1:28  kamakuraboy