あのころのデパート/長野まゆみ


あのころのデパート……なんとノスタルジックな響き
幼い頃に少しおめかしをして家族が出てかけたデパート
おもちゃ売り場の遊具で遊んでお子様ランチを食べてキャンディワゴンでお菓子を買ってもらう
懐かしくて恋しくてもう戻れない、そんな日々に思いを馳せるエッセイ







かと思いきや実際にデパートで働いたこともあるという長野まゆみさんによる内部事情込みのシビアなエッセイだった……!
デパートに勤務していた頃の話とか昔と今のデパートの遷り変りとか
デパートではないにしろ販売の仕事をしたことがある身としては あ~わかるわかる、そういうことあるわ~大変だよね~ってなるエピソードも
昔は棚卸しもPOSがなかったから手作業なんですね……恐ろしい


もちろん幼い頃に家族で出掛けたデパートの思い出話もあります
わたしはデパートの大食堂というものにめちゃくちゃ憧れがあって、岩手のマルカンデパートの大食堂の写真を検索しては行ってみたいなあ……と思ってて
って今調べたら一度閉店しちゃったけど復活したんですね!!!!!!ヤッターーー!!!!!

でまあ、そんな大食堂みたいなものがなくなっていくのは寂しいなあと思ってたんだけどもこの本の中で大食堂のシステムは今のサービスを求める世の中には合わない、とバッサリ切り捨てられていて
そ、そうか……


結局昭和のデパート当時を知らない身としてはレトロな雰囲気なんかを見ていいなあ、と憧れを募らせるだけでじゃあ今の暮らしより「あの頃」の方がいいのか、と言われるとそうではないんだよね
今の便利な暮らしを「あの頃」に戻すのは難しい
思い出は思い出として綺麗なままが一番なのかもしれないなあ
もちろん良いところはそのまま残せばいいと思うけど時代と共に移り変わっていくのは仕方のないことなんだなぁと少し切ないような寂しいようなでも本の中のデパートはやっぱり特別感があって思い出の暖かみに触れるような本だった
やっぱり大食堂への憧れは捨てられないしいつか岩手のマルカンビル大食堂には行ってみよう

あと本文中に出てくるデパートの包装紙のような装丁はめちゃくちゃかわいいです(文庫版)