男が小児科に入ると、一人の年配の看護師が近づき

「あら、見かけない顔ね。」

怪しんではいないが誰かしらと顔を覗き込むように見る。

「新人なんです。」

男はニッコリと笑うと、カートの中身を見せながら、

「これを運ぶように言われたんですが、どこにおけば良いですか?」

年配の看護師は、カートの中にある器具を見るとああ、と納得したように頷いた。

「うーん、足らないものもあるし、頼んでいないものも有るけど、まあ良いわ。
カートごとそこに置いてくれる?」

男は指を指された場所にカートを奥と、ドアを開け会釈をしながら出ていく。

『あ、あぶねぇ。ん?あれはウンス?
前を歩いてるのはテサンさんだな。
どこに行くんだ?』

男は廊下から二人を眺め、エレベーターに乗り込みドアがしまった瞬間に行き先階を確認するために動き出していた。