たくさんの車が行き交い、たくさんの人たちがランチを楽しむために大通りへと繰り出す。
行き交う人々の服装にヨンは佇み、唖然とする。
夏の日差しが照りつけ、辺りの人々はタオルで汗を吹きながらすれ違っていく。
ファルコンに言われて着替えた服は、着たこともない半袖にGパン。
いつもよりは身軽だが、腕の辺りが心もとない。
ファルコンと二人で町に出てから、やたらと人からの視線にも気になる。
中には何やら四角い箱を取り出しては、その箱をこちらに向けて「撮れたー」と喜びながら去っていく。
ヨンは段々と機嫌が悪くなっていく。
まるで見世物でも見ているかのような人々の視線に嫌気が指していた。

ファルコンに連れられ、来たのは事故現場の予定となる場所。

何時、ウンスのご両親が事故なるものに合われるのか?

回りを見渡すが、ヨンにとってはどれも同じ高い建物にしか見えない。


鬼剣も持たず外に出るなど、高麗ではあり得ない。


ファルコンに言われて置いてきたが、ヨンにとっては手持ち無沙汰を感じていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ウンスは一人、大学病院にいた。
研修と言う名目で外科の外来に来てはいたが、患者を診るのではなく、患者を診ている若い医者の診察をする様子を見ていた。

それだけしか聞かないの?
他に聞くことがあるでしょうに。
これだから研修生上がりは詰めが甘いのよね。

患者は50代男性。
二三日前から腹痛があり、地元の病院からの紹介状を持って診察に来ていた。

「うーん、レントゲンを見る限り、これと言って異常はないのですが。」

「でも先生、差し込むように痛くなるときがあるんです。」

「うーん。」

ウンスはため息をつきながら二人の会話を聞いていたが、もう我慢が出来なかったのか、カルテと紹介状の中身を若い医者から取り上げると、レントゲンと見比べていた。
血液検査の結果では、極度の貧血。白血球の上昇。ヘモグロミンの低下。動脈辺りの差し込み。若干の血圧の低下。
どう考えても、動脈瘤の可能性がある。
なのに気づかない若い医者に、苛立ちを覚えていた。

「先生、差し出がましいかもしれませんがMRI検査をしたらどうですか?レントゲンでは背中からのアプローチが取れないですよね?
痛みがある以上、調べないと。」

「あっ、そ、そうですね。そうしましょう。」

若い医者はウンスを見上げていたが、ウンスの答えを聞くと患者へと振り返り、検査をオーダーしていく。
患者はウンスを見ると。

「先生はこの先生の指導医何ですか?」

「いいえ、他病院からの研修で来ているだけですよ。」

にっこりと笑いながら答えていた。
若い医者は、パソコンに向かい慌ててオーダーを入力をしている。
そんな様子に患者もため息をついていた。