夜明けが開けようとするところ、母屋が慌ただしくなる。


ファルコンがわざとなのか、ドカドカと足音をたててウンスとヨンの眠る部屋へと向かってくる。

その音にヨンはウンスの体を揺する。


「ウンス。ウンス、起きてください。」

「う~ん、まだ眠い。」

「誰か来ます。」

ウンスはその声に飛び起きる。
そのタイミングと同時に部屋の扉が開きファルコンが飛び込んでくる。

「ウンス!シャインが!」

「すぐ行く!ファルコン、診察室から道具取ってきて。テサンは?」

「シャインのそばだ。」

ファルコンは診察室へ。
ウンスは髪を束ねながら、母屋へと走る。

ヨンはただらなぬ空気を感じ、ウンスの後を追いかける。


シャインの眠る部屋の扉を明け、そばに駆け寄る。

「いつから?」

「さっきだ。」

テサンはシャインの額に光る汗を拭っていく。

「ヨンは出てて。」

緊迫した状態にヨンは治療が始まることを感じ、扉の外へと出ていくのと同時にファルコンが駆け込んでくる。

「どうだ?」

「意識レベルが低いし、反応も薄いわ。」

「どうする?」

「ここじゃ、限界があるわ。取り敢えずお湯を沸かして、消毒するから。」

「わかった。」

ファルコンは厨房へと急ぐ。

「開腹するか?」

「するにしても麻酔の代わりがないわ。意識レベルが低くても、かなり危険よ。」

「針は?」

「そうね、しよう。準備してくれる?」

「わかった。」

テサンは針を、シャインに打っていく。
そこへお湯を桶にいれて、ファルコンが戻ってくる。

「ウンス、湯だ。」

「ありがとう。後は任せて。外へ。」

扉がしまり、廊下にはヨンとファルコンが残された。



暫くすると、テサンとウンスが疲れた顔で部屋から出てくる。

「もう大丈夫。落ち着いたわ。まだ熱があるから、動かせないけど。」

「わかった。」

ファルコンは頷き、部屋へと入っていく。

テサンは、腹を撫でながら、

「腹へったな。」

「確かにお腹すいたわね。なにか用意できるか見てくる。
ヨン、あなたもお腹すいたでしょ?少し遅くなったけど、朝餉にしましょう。」

ウンスは髪をほどきながら、厨房へと向かっていくとそこには、ファルコンが用意した朝餉があった。

「さすが、ファルコンね。」

「おい、お前、これ持て。」

テサンは朝餉の乗ったお盆をヨンにひとつ持たせる。
それぞれがお盆を持ち、居間へと移動して朝餉を食べ始める。

先に食べ終わったテサンがヨンに向き直り、テーブルに肩肘を付きながら問いただす。

「誰に断って、ウンスを抱いた?」

ウンスとヨンは、口に入っていたものを吹きそうになりながら、口を押さえた。





ばれてたよねぇ。
ヨンはどうする?