Cody は、もう何年も前から、キャンダスとも、義理の父親ボブとも、全く連絡を取らなくなっていた。
それと同時に、弟クレイトン 、妹アンバー とも、疎遠になっていた。
クレイトンも、アンバーも、虐待は全く受けてい無い。甘やかされて育ってきた。
あくまで、ボブは、キャンダスの連れ子であったCodyにのみ、虐待を与えていた。気に入ら無いことは、全てCodyへ向けられた。
クレイトンと アンバーと Codyの間には、過去を分かち合え無い隔たりがずっとあった。
それは、明らかに、親から受けていた自分と弟妹達との間にある、 差別 によるものだった。
親と絶縁に成り、ついでに弟妹とも、自然に疎遠になっていったのだ。
だが、クレイトンは、色んな手を使って、Codyを見つけ出し、電話番号を聞き出し、取り敢えずの元家族の現状況は、年に数回伝えてきていた。
お互いが会う事は無かったが…
そんな中、今年の5月に、クレイトンからCodyに連絡が来た。
クレイトンはワシントンにいた。
母親キャンダスの所だ。
クレイトンは、母親の体調がすぐれ無い、入院している。
Codyにも母親に会いに、ワシントンに来てくれ無いかと言った。
Codyは、それを拒否した。
自分には、母親は居ないと言った。
それでもクレイトンは、せめて、声だけでもと、病院のベッドの母親と、Codyを無理やり話をさせた。
キャンダスはもうあまりハッキリとは、言葉が話せない様子だった。
ろれつも回らず、Codyの声が聞こえているのかも確認できない…
"Cody" と名前は呼ばれたと言っていた。
そう、これが、Codyと、母親 キャンダスとの、最後の会話になった……
その数日後、キャンダスはこの世を去っていった……
実は、キャンダスの死を私は知らなかった。
Codyの父親、ビルが亡くなったと知らされたその日に、
「実は、母親も二ヶ月前に亡くなった」 と、初めて聞かされたのだ……
ダブルショックだった……
「なんで、黙っていたの!」と、もちろん思ったが、
Codyを責める気は無かった…
彼は、心の中で葛藤していた。
それは、行動にも出ていた。
もう、15年以上辞めていた タバコを丁度二ヶ月位前から吸い始めたのだ。
"何故?今更タバコ?こんな健康志向の世の中に!貴方の奥さん(私)は、オーガニック志向なのに!!!"
そう私は思ったが、飽きれば辞めるだろう、タバコの害は、本人がよく知っているから。そう考え、放って置いた。子供達の前ではタバコを吸わ無い様に、煙にも注意していたし…
私はあまり鑑賞しないタイプだ。
ガミガミ言わない。
本人が気付か無い限り、癖は治ら無い。無理強いは絶対にし無い。
遠くから、彼の行動を観察した。
Codyは、仕事に行くのに、毎朝3:00に起きる。4:00前には家を出なければ成らない。
現在の職場は、太陽光を利用してのパワープラント、発電所の建設。毎日40度越えの炎天下の外での作業。15人のクルーをまとめる役目が彼の仕事。かなり過酷だ。
単純計算しても、夜の9:00頃には寝むりにつかなければ、毎日身体が持たない。
なのに、今しなくてもいい様なガレージの片付け、車のオイルチェンジ、シンクの修理など、夜遅くまで、何かをやっている。
数日前は、オイルチェンジをしながら、あまりの疲労に、トラックの下でうたた寝していた程だ……
結論は、忙しくしていないと、余計なことを考えてしまうからだという。
無理もない、両親どちらとも、こんなに短い期間の間に、亡くなってしまったのだから……
自分には母親は居ないと言っていたが、Codyは、母親に歩み寄りたかった…
一度でいいから、過去のことを謝って欲しかったと言っていた……
そして、褒めて欲しいとも言っていた。
ずっと、母親に罵られて育てられたからだ。
ただ、もうそれも叶わない。
キャンダスは、亡くなってしまったから……
今までは、いつか母親に過去の事を謝ってもらう、そして、どれだけCodyが頑張り、正しく生き、立派になったのかを褒めて欲しかった。
それを、ある意味人生の目標にしていた様な気がする。
そうすれば、過去の呪縛から解かれる様な気がしていたのだろう…
また、Codyはいつも言っていた
自分は自分の親の様には絶対に成らない!
あんな人間には絶対成らない!
あんなダラシない連中はゴメンだ!
その、親に対する反発心から、彼は真面目にコツコツとキャリアを積んで、ずっと頑張ってきた。
そう、陰 と 陽 は対である。
負のエネルギーばかりを見て、経験して育ったCodyは、その逆境を肥やしとして、そこから学びながら、その反対にあるものを、自然に身に付けていった。
続く