今日の事



荷物を卸して次に向かう途中

久々にタバコでも吸おうかなととあるサービスエリアに立ち寄った

汗だくで水も飲みたくて

前にトイレに財布を忘れてえらい目にあってから必要な分だけポケットに入れて

600円

トイレに向かって歩いていたら女の子の姉妹が歩いているのは視界に入っていた

そしたらなにかがコロコロ転がって排水溝に

500円玉に見えちゃった

立ち止まって『あー!!』って顔してた


周りで何人かが気づいてあらぁ~って言ってたけどそれだけ


500円玉かいって聞いたらそうだと言う

両親はと聞いたら車で待ってると言うし

なに買おうとしてたのかと聞くとソフトクリーム

お姉さんの方は小学校高学年くらいかな


お父さんとお母さんに内緒だよって言って買ってあげたさ~!!

走ったらソフトクリーム落とすよって言って

ありがとうございましたってお礼を言っててくてく歩いて行った


トラックに戻って今度は千円握りしめてタバコと水をようやく手に入れた

まだ俺やれるな!!と自己満足に浸りながらの久々の一服はうまかったなぁ~音符


時々こんな事があるんだよね


これからも忘れないようしないとね

海ほたる行こう!


再び彼女を海ほたるに誘った。

ひとつの決意と言葉を胸に…



彼はいつになく口数が少なかった。

彼女も何となくだが『いつもと何か雰囲気が違う』事に気づき始めていた。

まさか…

と思いながら。




初秋の海ほたるはドライブには最適なスポットとしていつも賑わっている。

夕方5時を回っても平日とは思えない賑わい。



前に2人で見た木更津側の橋を見に海ほたるのお尻?に2人で歩いて行く。


今日は彼から手を差し伸べて手をつなぐ意識を見せた。

『めずらしぃ~!』

『別にぃ~!』


少し照れながらゆっくりと彼女の歩幅に合わせ歩く2人…


デッキの先端まで来た。


水平線に沈みかける夕日に照らされて橋は夜のライトアップがされ始めた。


今日はいつになく会話が途切れ気味…

緊張感が彼女に伝わるのか、わざと気にしない素振りを見せる彼女。



『ねぇ?』

『ん?』

『愛してる?』

『愛してるよ!』

『そっか…』



彼は最後の意識確認をした。



『ねぇ?』

『ん?なに?』

『ずっと俺の側にいてくれ!』
強い口調に彼女がこちらを見た。

『…!う、うん…』


『…結婚しよう!』

『…!!!』


薄いピンクのルージュをひいた唇を閉じるのも忘れて表情が固まる。



彼は右の膨らんだポケットから小さな箱を取り出した。


純白の小さな箱を彼女の目の前であけて見せた。


本当に小さな…

でも…

世界一透明で彼女のようにキラキラ光る宝石のついた指輪が収められていた。



そこから指輪を取り出して箱は彼女のバックにしまい込む。



彼女の左手をそっと手に取り、以前2人で買った薬指のペアリングの手前に誓いの指輪を滑らせる…



指輪をはめ込まれた左手を見ながら彼女がうつむいた。



うつむいた顔の瞳辺りから涙がひとつふたつ足元に落ちる。


彼女が顔を上げてゆっくりとまぶたを閉じる。


誓いのキス…


触れるように優しく…

でも…いつまでもこの感触を忘れないように…



どこかのカップルだろうか。

彼と思われる男性が『やるな!』と言わんばかりにヒュー!と口笛を吹いた。



どこからともなく小さく拍手がおこる。


我に帰った2人は照れ笑いを浮かべて周りを見回しながら再びお互いを見た。


頭を撫でる彼。

やさしい微笑みを浮かべうつむく彼女。



橋に視線を移すと下の階に親子連れが立っていて海を眺めていた。


母親と手をつないでいる女の子だけがこちらをジッと見つめている。

年の頃は3~4歳だろうか…

言葉もいろいろ覚えたてではしゃぎ回る盛りに見えるのにその瞳は何故か落ち着き払っている。



女の子が突然母親とつないでいた手を振り払った!

記念に建てられた鐘に向かって…


鐘を鳴らすロープの横に立ちその小さな手でロープを掴んだ。

カン、カンと鐘が鳴り響く…


『17回』鐘が鳴った…

全てを悟った彼女の目から涙が流れた…



『!!!ねぇ?』

『ん?』

『女の子の背中!』

『!』


目が潤んでいるから視界がぼやけている訳ではない。



真っ白な小さな羽根がふたつ…



ゆっくりと扇ぐように動いているのが2人には見える!




周りの人は女の子を気にもとめていない。

2人にしか見えていない天使…


『ベル!』


母親が女の子の名前を呼んだ。


両親の方に一生懸命駆け寄る天使…


両親の真ん中で両手をつないだ女の子はこちらを見て微笑んでいる。

そして親子はこちらに微笑みながら一礼した…


2人も一礼を返すとそれを見届けてから仲良く駐車場に歩いて行った。



2人は親子を見送ろうと下のデッキに降りた。



両親の真ん中で両手をつないで歩く後ろ姿…


女の子の背中にはやはり真っ白な天使の羽根が…



ふと女の子がこちらに振り向いてウインクをした!



全てわかっているよと…

知っているかのようなウインクだった…




親子は駐車場の奥へ消えていった…




親子が去った通路の真ん中に白い羽根が一枚落ちていた…


彼女が駆け寄りその羽根を拾う。

天使の羽根…


左手の薬指と指輪の間にその羽根を差してこちらに見せる彼女。



その瞳には強い光が宿っていた…



自分の天使を見つけた瞬間だった…






…fin