私は2016年に小脳出血で倒れ、右半身に麻痺が残り、複眼もあり、現在リハビリ中である。

２０年ほど前から短歌を読んでいるが、ネットに出すのは今年になってからだ。

ブームだから読むのでないが、現代短歌の自由さなどで歌人が増えるのはうれしい。

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短歌は57577の３１文字を基本とする詩である。7,5調は母音と子音が対で、音が独立している日本語では、リズムカルに聞こえる。歌とも密接なつながりがある詩にとって、重要なのはリズムであり、１音が独立していないヨーロッパなどの言語では韻を踏むことでリズムを作っている。

形式は「和歌」の形式を踏襲するが、異なる物である。

また、５７５の俳句は似ているが、短さの代償として季語が要求される。この制約は大きく、思ったことは素直に出せず、あまり自由ではない。感嘆符のような句が多いのはこのせいである。ただ、素直に出せないことは、ある意味いい事でもある。芭蕉や一茶・加賀の千代女などの句には感動するものが多い。

色々な美術運動を経ている現代短歌は、自由で形式にこだわらなくていい。私が日本語で書くのは、「てにおは」で意味が大きく変わる、と言うようなニュアンスが解るからである。

短い詩なので、私は理由のない重複は避けたいと思っている。

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「サクラサク」

あれからどのくらい

経ったのか

今年はまだ

ツボミです

公園に

遊ぶ人あり

桜咲き

花見客ばかりと

思ったけれど

花吹雪

川面に映り

目に眩しい

水の中を

花筏が流れ

公園の

小径に出来た

花のアーチを

くぐるのを

私は見ていた

芽吹いてる

木夫人の衣装にも

準備が

整ってきた

みたいな今日

朝、一輪

紫木蓮が

咲いていて

夕方帰ると

三輪となり

冬の日には

陽が差し込んだ

森の中

暗くなって

春が来た

朝付けた

ストーブを消した

明日は４月

窓の外では

桜花開く

起きあがると

新緑の揺れる

窓の外

空気が少し

肌を刺した

公園の

小山に子供が

登っていて

木々の色も

緑を増した

筍の

音がするなり

シャキシャキと

木の芽の香り

あたりに拡がる

新緑の

雨に煙れる

公園は

人がいなくても

桜は散ってる

窓からは

芽吹いた葉が

見えていて

起きた僕を

暖かさが包んだ

ぼけが咲き

山吹が咲き

木蓮も

赤黄紫と

木々の間に

のしかかる

雲の下では

新緑に

映る滑り台が

泣いていた

女房に

また、恋をした

今頃は

いつもありがとう

本当にありがとう

鴬の

鳴く声響く

心まで

姿見えねど

恐竜の末路？

雪山が
白く輝く
快晴に
くるまで　向かう
リハビリテーション

窓からの
光を夕日が

紅く染め

空は橙色の

グラデーション


体操に
向かう背中に
おいた手の
ぬくもりを感じる
いつもありがとう

窓からは

若い葉が見え

光が射す

起きた僕を

暖かさが包む

新緑が

白く光を

反射して

暖かく思う

4月9日　　　　　（しがつ　ここのか）

葉の色は

茶色だけれど

つややかで

「落ち葉じゃない」と

つぶやいていた

八重桜は

葉も一緒に

生えてきて

道のわきに

紅く咲いた

重たげな

雲の下では

新緑が

滑り台にうつり

泣くのが見えた

朝寒くて

一枚　はおる

今日は夏日

不思議な５月

みどりの日

視線　は

森に入ろうと

したけれど

あきらめた春

木々が茂って

目を空ける

鳥が鳴いて

少し寒い

時計は５時

部屋に光が

障害者で

いつも車の

わたしには

見えないものが

たくさん出来た

雨粒を

冷たく思う

今日の雨

しとしと降って

わかばが濡れて

ガラス戸の

若葉は揺れる

葉がすれて

テレビの音を

上げたくなった

リハビリで

滴る汗に

窓からの

風を感じる

頬に感じる

後４日で

６月になる

時のたつ

速さに畏敬する

梅雨はもうすぐ

歌集『名も無く』