いやはや、大変な盛況でした。

12月8日に、新宿御苑にて、
環境省様の主催でおこなわれた、
「長距離自然歩道50周年記念シンポジウム」
でございました。

今時のニッポンには、
「いっぱい歩きたい」人が、
こんなにもいらっしゃるのですね!
わーい🙌

でも、なんで?
そんな疑問はさておき…

まず最初は、
文化人類学者の今福龍太氏の講演で、
興味深い言葉が紹介されました。


「歩く人」walker は、教会、国家、人民の埒外にあって、いわば第四階級を構成しているのだ。
(中略)日々の散歩は、仕事について思索するためでも、市民としての義務を考えるためでも、ましてや社会からの逃避でもなく、正気を取り戻すためにこそおこなわれる。
(ヘンリー・D・ソロー「walker」1862年より抜粋)

文学における「歩く」に関する考察は、
大変感銘いたしました。

国や時代を問わず、人は、
「歩くことで、人間性を取り戻す」
という感覚を持つのですね!

続いて、元・環境省の神田氏の講演では、
具体的な「長距離自然歩道」50年の歩みと、
現状および今後の展望。というものが、
熱く語られました。

思わず感動してしまったのが、
九州自然歩道の道標に刻まれた、
アパラチアン・トレイルの理念です。


自然歩道の効用は、体力をつくること、もう一つは自然に親しむことである。
将来自然歩道で体力増強のための競技が行われることがあれば、大変不幸なことだが、
その時はちゅうちょなく自分は一番遅かった人に賞を与える。
 長距離自然歩道提唱者
 ベントン・マッケイ(アメリカ)

今から100年近い昔に、
長距離自然歩道を提唱したアメリカ人が、
「遅かった人に」と言ったのですって!

この名言が、
バブル華やかなりし80年代に、
九州の地に刻まれていたとは!

しかし神田氏は、
自然歩道が全国に整備される過程で、
当初の理念が叙々に忘れられ、
一時期は、どえらい迷走し、
最近ようやく原点回帰していると、
仰っていました。

確かに、
最初に整備された東海や九州の自然歩道は、
一本の道となっていますが、
後で整備された道〜中部北陸や近畿では、
網目のようになっていて、
もはや訳がわからん状態に…

それでは車で行って帰るだけの、
普通の日帰りハイキングのコレクション
に、なってしまってないか?

その点、東北太平洋沿岸自然歩道(みちのく潮風トレイル)は、
まさに、原点回帰の道なんだなあ、
と思いました。

最後のパネルディスカッションも、
ちょっと哲学的なトークでした。

歩くことで、自然を感じたり、
人と触れ合うことによって、
心おだやかな気持ちになれるよね。

世界中のみんなが歩いたら、
世界はちょっと、平和になるんじゃない?

またしてもハイカーにありがちな、
世界平和系の妄想で、
笑いと涙の盛り上がりを見せたところで、
会はお開きになりました。

長距離自然歩道、いいかも。
可能な限り、歩いてみたいです。

そして、
仲間が増えると嬉しいな。