建具について。

建具の原型とされるものに「蔀戸（しとみど）」があります。

建物の外部の柱と柱の間に付けられ、通常は閉められており、開ける場合には内部か外部にはね上げて使う格子状の建具で寺院などでみることができます。

その後、「遣戸（やりど）」と言われる鴨居(かもい)と敷居の溝に沿って開閉する引き戸の板戸が平安時代の寝殿造で用いられ、室町時代に入って書院造に多用され引違いのものは「違いの遣戸」と呼ばれた。

上部への開き戸から引き戸に建具は時代とともに変化したのである。

古民家に使われる代表的な引き戸は先週ご紹介した「舞良戸（まいらど）」以外にも、

格子戸
「格子戸」は「蔀戸（しとみど）」とは異なる大陸様式の開き戸が原型。平安時代後期に引き違いの格子戸が広く使用されるようになった。格子戸は、機能性と落ち着きのある意匠性を兼ね備えた建具であり、玄関や門などに使われる。

紙貼障子
「紙貼障子」は平安時代後期に発生し、全面を和紙貼りにした明かり障子がその原型とされ、ガラス戸が登場するまでは採光ができる建具として､建物の外廻りに建て込まれていた。種類は多く、きめの細かい納まりも随所に見受けられる。

夏障子・簾戸
紙貼障子は冬場風を遮るために用いる建具で、夏場は「夏障子」と呼ばれる通風できる建具に入れ替える。「夏障子」は「簾戸（すど）」と呼ばれる。「簾（すだれ）」に編んだヨシ、ハギ、イヨ竹を格子の中に入れたものや、組子だけで作る場合がある。庭の景色や隣の部屋が光りの加減で透けて見える風情の有る物で、隙間からの風通しが良く涼しくすごせる。

襖
「襖（ふすま）」を取り外せば一体になる開放的な可変空間が伝統住宅の特徴で紙貼障子と並ぶ代表的建具である。「襖」には絵が描かれ、模様があしらわれる室内装飾の主役でもある。

窓ではないが開口部として無双窓がある
「無双窓（むそうまど）」の無双とは表裏が同じという意味。一定間隔で隙間を設けた連子板の内側に同様の隙間の板の建具をはめ込み左右に動かし開け閉めする。

詳しくは古民家解體新書Ⅱ　P262からをごらんください。