在来工法の軸組について。

在来工法の軸組は土台、柱、梁・桁等の下記の部材で構成される壁体の骨組みを軸組みという。軸組みは上部構造(平屋の場合は屋根。2階建ての場合は2階床組)を支持すると同時に、水平力(地震・風)にも耐える強度が要求されます。

 

各部位を説明すると、

土台(どだい)
基礎の上に据える材で、ホゾ穴を開けそこに柱を建てる。外周面に回す「則土台」、内部の間仕切り壁の下に配置する「間仕切り土台」、土台より小柄な角材で水平構面の変形を抑えるために敷かれる「火打土台」がある。土台の継ぎ手は「腰掛かま継ぎ」や「腰掛あり継ぎ」が用いられる。基礎と土台はアンカーボルトを使い緊結される。地面に近いため湿気に強い栗や檜、アピトン、イペなどを主に用いていたが、現在は檜やベイツガなどに防腐剤を加圧注入したものが主流となっている。

 

通し柱(とおしばしら)
二階建て以上の建築物において、土台から軒まで通った継ぎ目のない柱。主に外周の隅柱(すみばしら)に使用されることが多く胴差し(どうさし)が差し込まれる。胴差しを差し込む為断面欠損が大きくなるため管柱よりも太い、4寸柱(12cm×12cm)が用いられることが一般的。通し柱は建築基準法で使用が明記されているように誤解している人が多いが、建築基準法上は「階数が2以上の建築物におけるすみ柱又はこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りでない。」と表記がされ必須項目ではない。断面欠損で考えるなら上下階の管柱をホールダウン金物で補強する方が欠損は少なくなる。

 

管柱(くだばしら)
胴差しや桁、梁などで中断される1階または2階のその階にだけ入る柱。上層の屋根や床を受ける構造体。

 

筋交い(すじかい)
柱と柱の間に斜めに入れ建築物の構造を補強する部材。「筋交」「筋違」とも表記される。構造体の耐震性を強める効果がある。

 

間柱(まばしら)
管柱の間に一定間隔で入れる壁厚を維持するための非構造材。

 

横架材(おうかざい)
梁、桁、胴差し、土台など水平方向に架ける構造材。

 

胴差し(どうさし)
二階の床高さで、建物の周りを囲う横架材のこと。床の土台ともいえ、2階床荷重を下階へ伝えるとともに外壁を造る部材でもあります。

 

梁(はり)、桁(けた)、軒桁(のきけた)
梁とは建物の水平短径方向に架けられ、床や屋根などの荷重を柱に伝える材。主に曲げ応力を担う。 梁はおもに鉛直荷重を伝えるが、地震などに際しては水平方向の荷重を支えることにもなる。梁の端部に柱があるものを大梁、柱に直接繋がっていないものを小梁という。桁は梁の直交方向(長辺)に渡される部材。小屋梁と交差し垂木を受けて軒と水平方向に架けられた部材は軒桁(のきげた)という。軒桁の上面までの高さが建築基準法の「軒高(のきだか)」となります。

 

火打(ひうち 火打梁)
二階などの床や小屋組に設ける水平構面の変形を抑えるための斜材。木製のものが多いが鋼製でできた既製品の火打金物の使用が増えています。

 

小屋組(こやぐみ)
小屋梁から上の屋根の造形を形造る構造物。小屋束、母屋、垂木などで構成されます。


詳しくは古民家解體新書Ⅱ P297をごらんください。