基礎とは建物が地盤と接する部分で、建物の荷重を地盤へ伝える重要な部分である。伝統構法と在来工法はこの部分が外部から見ても判別が可能なポイントであり、大きく異なる部分である。

 

伝統構法の基礎は石場建て基礎と呼ばれており、自然石の上に土台(敷土台)や柱が建っている。

 

 

一方の在来工法はコンクリート製の布基礎やベタ基礎を作り、そこに土台を置いてコンクリートに埋めたボルトでコンクリートの基礎と土台を固定し、土台の上に柱を建てる。

 

石は自然素材なので耐久性は折り紙つきに長い、一方のコンクリートは法定耐用年数で60年。しかし住宅に使われるコンクリートは高速道路や橋などに使われるものと同じではなく、コストの点からも安価なものが求められており強度は当然落ちる。

 

国土交通省の前進である建設省が1998年にまとめた「建設省総合技術開発プロジェクト」の報告書によると、セメントに混入する水を50%以下まで減らし、鉄筋のかぶり厚を十分に取り、収縮や凍結を抑制する添加剤を加えることで、500年以上といった半永久的な耐久性を確保することが可能だが、こうした施工を行うには工期が延びコストも増大するため、そこまでの耐久性を想定して鉄筋コンクリート構造物を建設することは少ないし、コンクリートに混ぜる砂は塩分を含まない河原の砂を使いたいが、環境破壊の問題から採取は厳しく制限されており、住宅で使用できる砂は砂浜の塩分を含んだものが使われる。無論塩分を取り除くために現れているが、果たしで100%塩分を取り除けたかは疑問であり、たとえごく少量の塩分であっても鉄筋を長い時間かけて錆びさせることは可能である。

 

また住宅の基礎は耐久設計基準強度というものが18N/mm2と決められており、つまり基礎の設計段階から実は30年ぐらい持てばいいという考え方がされていることはあまり知られていない。

 

感覚的に言えば、住宅の基礎も30年でダメになることはないが、60年か70年ぐらいが寿命という線ではあまり意義を唱える人は少ないと思う。基礎がダメになれば建物は壊すか、建物をジャッキアップして浮かせ基礎を遣り替える必要があるが、多分多くの人は解体して建て替える道を選択すると思う。それはそこまでしても残したいという魅了が建物にないからである。