私は古民家鑑定士を始め古民家に関する資格の教本を書かせて頂いていますが、日本の昔の家(戦前)と現在建てられている家を比べると、現在の家の弱点が見えてきます。

 

古民家とは、建てられてから50年以上経過した住居と定義しています。これは国の登録有形文化財制度に合わせて定義させていただきました。今から50年前というくくりで考えると、古民家の中には、戦前の伝統構法と呼ばれる建物と、戦後昭和25年建築基準法が制定されてから建てられている在来工法と呼ばれる建物の両方が含まれており、両方を古民家鑑定士は現在の建物コンディションを調査するインスペクション(建物調査)をおこないます。

 

この古民家鑑定の仕組みも作りました。約550項目を目視によって調査することで、

 

1、現在の建物の総合的なコンディションと固定資産税の評価とは別に設けた資産価値を表現する建物の査定金額

 

2、各部分の老朽化具合(基礎、外壁、屋根、内部、水回りなど)

 

3、老朽化具合を見ることで、今後30年間のメンテナンススケジュールの提案

 

などがわかります。

 

古民家鑑定は9年間で毎年全国で200軒程度を発行しています。

 

つまり、伝統構法と在来工法の両方のコンディションを見ているのでその中でどちらが優れた建物中を肌で感じているのです。

 

ただし、ここでいう優れた建物というのは、日本の気候風土の中で、住みやすい工夫があって、建物自身が長持ちするという視点です。

 

高級な材料を使っている(伝統構法の方が現在は手に入らない材料を多く使っているので、その点では高級と呼べなくもないかもしれません)、デザイン性が高い、最新の設備が使われている、間取りが使いやすいなどという視点ではありません。

 

また耐震については後で述べますが、伝統構法と在来工法は実は地震時の対応の仕方が真逆の考え方ですので一概にどうとは言えませんが、伝統構法は100年以上地震があっても残ってきたという事実があり、在来工法は昭和25年の建築基準法の制定後幾度かの大きな地震の後に耐震の基準が改定されていることを考えれば、まだまだ発展途上ということではないかと思います。