KD材とは蒸気乾燥などで人工的に乾燥をおこなった構造材を表します。KDは、Kiln Dry (キルンドライ、乾燥炉を使用して乾燥させること)の省略です。人工乾燥あるいは強制乾燥材といいます。ハウスメーカーでは普通に使われている割れない無垢の柱がこれになります。木材の表面の割れを施工者はユーザーからのクレームが来ると考えそれを不良品と判断しています。そのため、人工乾燥は、木材表面が割れないように乾燥されています。大きなカマに木材をいれてフタをして加熱して、含有される水分を強制的に蒸発させます。蒸気乾燥の方法は安価で安定した性能をもちます。人工乾燥の際に、木を切り出した直後に炉に入れてしまうと乾燥度の異なる木材が混ざり過乾燥または未乾燥の材料ができてしまいますので、天日乾燥として一時屋外に出した後、最後の乾燥の行程を乾燥炉で行います。

平成12年住宅瑕疵法という法律が施工されて、120℃で処理する高温乾燥が杉の柱などで実施され始めました。この方法では、木材に含まれるリグニンという成分を軟化させて、乾燥の行程で木材に引っ張りの力が生じたとき割れを起こさないように処理します。リグニンの軟化温度は、85℃以上なので85℃以上の温度で、約13時間ぐらい蒸して、次に120℃の温度で24時間処理するのが基本となります。リグニンを軟化させることは木の組織結合する組成を破壊させ、強度の成分をなくすことになります。また、120℃という高温での処理は木材の主成分のセルロースが糖分にかわりシロアリに食べられやすくなるとの話もあります。

しかし、日本の住宅は、30年で建て替えているとの現状がありますので極論は30年持てば、良いということなのでしょうか。人工乾燥で、木の組織が破壊されようが、木が黒くなろうが、香りが焦げ臭かろうが、間伐材を安く使うには、当然許されることだと国も判断しているのです。

長期耐用住宅にこだわった地域の製材屋は、そのような人工乾燥ではなくて、処理温度が50℃の低い低温除湿に変更しています。それでもやはり木材にダメージがある事は否めないと思うので、プロの方ならば自然乾燥材をユーザーには提案してもらいたいと考えます。木造建築の良さはどこかと考えたとき、節だらけの、焦げくさい、木肌の焦げた、木の自然さのない木を使うのは誰も望まないと思います。

AD材とは自然乾燥された木材を指、自然乾燥材といいます。自然乾燥では、内部より表面の乾燥が早く進みます。木材は乾燥すると収縮するため、表面側がまず収縮しますが内部は未乾燥で元の体積を維持しますから表面には年輪方向の引っ張り応力が発生し、「ひび割れ」が発生します。このひび割れは、強度に無関係なのですが、外観の悪さからユーザーに理解が無いとクレームになるので商品の価値がないとされています。強度的には蒸気での人工乾燥は自然乾燥とも同じ強度を保っているとのデータがあります。多くの方はクレームの少ない人工乾燥を選ばれると思いますが、データには現れない木材の乾燥の仕方で考えれば、たとえ表面が割れたとしても、自然乾燥の方が木は生きていると思います。厳密には樹は切られて木となり、光合成はおこなわれないので生きているとは言いません。木材の調湿性などは、木の組織が生きていなければおこなえないと考えるのが普通です。自然乾燥材の表面の割れは背割りという昔から行われてきた乾燥前に柱の見えない部分に故意に割れ目を作っておく事で大概は解決できます。

家を長持ちさせるには私はKD材では無くAD材を使用した方がいいと思います。もうひとつ集成材というものもあります。これはいくつかの木片を圧力をかけて接着剤で張り合わせて1本の木材にするものです。中には表面に無垢材の表面を大根の桂むきのように薄くそいだ紙のような板、単板を貼付けているので表面だけみても切り口をみないと解らないものがあります。完全な工業製品ですので品質のばらつきが無く、構造の計算ができるので大きな建築物やハウスメーカーさんの家でよく使われます。価格も最も高いものになります。しかしこれはあくまで接着剤で張り合わせたものなのでいずれ外れてしまうと思います。