躾(しつけ)という漢字は身体を美しくと書きます。身のこなしや作法が美しい人を見ると羨ましく感じますし、自分自身も美しい身のこなしや作法を身につけたいと思いますよね。躾という意味を調べてみると人間社会での規律や礼儀作法などの慣習にあった立ち振る舞いが出来るように訓練する事と書かれています。躾とは社会で生きて行く為の教育そのものでもあると言えますし、生活に根ざした作法だけでなくなぜそれをおこなわなければならないのかと言った根源的なものも教えて行かなければ意味の無い事でもあります。作法や身のこなしを大人になってから身につけるのは大変ですから出来れば子供の頃に身につけさせたい事ですのでどうすれば子供の為になるのかを考えながら躾に付いて考えてみたいと思います。


貴方(奥様をイメージしています)のお家にお客様が訪ねてこられたので子供が遊ぶリビングにお通ししました。そのとき子供はどうしてますか?

子供が遠巻きにお客様を眺めてたり、お客様の方も向かずに遊び続けていたら、もしお客様の立場ならすぐに帰りたくなりますよね。お客様が来られたら、子供に「こんにちは」と和室なら座って挨拶させて、洋室でもお辞儀をさせて、それから大人の話の邪魔にならないように部屋の遊び道具を片付けさせて別の部屋に行かせるあるいはその部屋にいさせるのであれば静かに本などを読ませましょう。子供が好きだからと子供の好きなテレビを見せるのは間違いです。お客様に失礼になる事を理解しておいてください。
でもうちの子供はのびのび育てたいから、子供だから落ち着きがないからなんて言ってませんか、お客様がいる時間はそんなに長くありません、お客様が帰ればのびのびしようと落ち着き無く遊び回ろうが自由なのです。少しの時間我慢させる事が躾でもあるのです。むろんお客様がお帰りになる時には子供も一緒に玄関までお見送りに出ます。玄関先で正座してお見送りしていただいたり、わざわざ外まで出てお見送りされたりするとやっぱり誰でもいい気持ちで帰れますよね。子供と一緒にお見送りする場合は貴方は玄関の外まで、子供は玄関までお見送りしてくださいね。


ご主人が仕事から帰ってきました。そのとき貴方と子供はどうしていますか?

家族が帰って来た時にリビングなどでテレビを見ながら「おかえりなさい」と言ってませんか。もし貴方が帰ってくる立場だったとして、お帰りと声が聞こえるだけか、家族みんなが玄関までお迎えに出て来てくれるのか、家族がみんな玄関まで迎えに来てくれたらきっと外出や仕事の疲れも吹っ飛ぶんではないでしょうか。むろん料理をしていたり、家事をしていたりしていて手が離せない時もあるのでその時は残念ながら遠くから「おかえりなさい」と声をかけるしか無いと思います。でも、子供はどうでしょうか。子供なら玄関までお迎えにいけませんか。子供には毎日必ず玄関までお迎えに向かわせましょう。手が空いている時は一緒に玄関まで、どうしても手が離せない時でも廊下の途中でも良いですし、ひょっとすると玄関に向かいたいと台所で少し体を動かし、玄関の方を向くと言ったようなアクションでも良いので子供をお迎えに向かわせる為の行動をしてあげましょう。
そうすれば子供は誰かが帰って来た時には玄関までお迎えに行く事が当たり前の事だと思ってくれると思います。


貴方のお友達がお家に遊びに来ていて帰る事になりました。あなたはバイバイと言ってお見送りしますか?

親が自分の友達に「バイバイ」と言っていると子供は誰に対しても「バイバイ」が別れ際の挨拶だと思います。子供から見て大人は誰でも目上の人になります。あなたは会社の社長さんとかに「バイバイ」と言うでしょうか。

目上の人に対しては敬語を使わなければなりません。そんなの格好が悪いとか、敬語を良く知らないなんて大人なら言えません。恥ずかしい事ですよね。家に遊びに来ていて友人が帰る時には「さようなら」、帰る友人は「お邪魔しました、さようなら」というのが普通ですよね。仲のいい友人にさようならなんて、確かに貴方の視点から考えるとそうでしょうが、子供の躾の観点ならやっぱりちゃんとした挨拶を見せてあげる必要があります。

子供連れの方とお話ししていて別れ際、私もよく子供に対して「バイバイ」と言ってしまいます。その時に子供に「さようなら」と言われて驚いた経験があります。その時に感じたのはやっぱり躾は大切で、躾は親の為ではなく子供の為に必要な事だと痛感しました。貴方の子供は目上の人に対してちゃんと「さようなら」と挨拶出来ますか。


最近は携帯電話を一人1台どころか複数持っている人も珍しくなく、私も実は2台の携帯電話と、家の電話を使っています。携帯電話が普及して最近は家の電話がなる事も少なくなってきましたが、昔は電話に良く子供が出ていました。

「お母さんいるよ!」

「ちょっと待って」

「川上って人から電話!!」

なんて声が受話器の向こうから聞こえたりしてました。


家にある電話は子供の躾には便利な道具です。親しい友人は携帯電話に掛けてくる事が多いでしょうから家の電話にはあまり親しい無い人や、遠い親戚のおじさんやセールスマンからの電話が多いんだと思います。セールスでかかってくる嫌な電話を逆に利用して子供に丁寧な言葉使いが出来るように練習してみましょう。

「どちらさまですか」

「少々お待ちください」

「今手が離せないようですのでご用件お聞きいたしましょうか」

「折り返しお電話いたします」

などの対応が出来るように訓練しましょう。また貴方を呼ぶ時に電話を保留にしているか、リビングに電話がある時にはテレビの音などを消しているか、小さくしているかも確認が必要ですよね。もちろん貴方も電話がかかって来た時にはテレビのボリュームは下げてますよね?


挨拶の言葉使いや行動を書いてきましたが、私が品がある人だなと感じるのはやっぱりその立ち振る舞いで特に姿勢でしょうか。私も猫背で姿勢が悪いのがコンプレックスでもありますが、男性女性を問わず姿勢の綺麗な人を見るとそれだけでなんだか嬉しくなってきます。

正しい姿勢の基本は立ったとき、人の体のちょうど真ん中ぐらいにある腰、腰骨を意識するのが良い姿勢の基本だと思います。両足をそろえおへその少し下にある丹田(たんでん)という部分を意識して力をいれます。次に背骨を真っすぐにして胸を後ろ側に引いて首を立てあごは少し引きます。そうすると体重が丁度腰骨に乗っているような感覚になったと思います。鏡で見るときっと綺麗な姿勢になっていると思います。綺麗な姿勢、正しい姿勢は見た目に美しいだけでなく脳にも影響を及ぼし精神も安定させる効果があるそうです。

椅子にある背もたれって何かご存知ですか。確かに背中をもたれかけさせるものでしょうが、綺麗な姿勢というものでは背もたれは実は不要なのです。両膝を閉じて椅子の背にもたれかけないようにして腰骨を意識して座るのが正しい座り方です。足を組んだり足を広げてたり、中には椅子なのに椅子の上であぐらを組んだりなんて間違ってもしていませんよね?