いよいよ中国料理に関するネタ一発目です。

 

まずは、私たち日本人が日常的に目にしたり耳にする「中華料理」と「中国料理」。この二つの言葉の違いについて少し考えます。


私は誰に習ったわけではありませんが、この二つの言葉には何となく…
 
中華料理=日本人向けに変化した大衆料理。中華そば、天津飯、焼きギョーザ、八宝菜、レバニラ炒めなど。日本にいた時は町中華なんていう言葉も耳にしました。


中国料理=日本で食べられる中華系の食事の中でも割と「本格的」とか「高級」なイメージ。円卓を囲んで前菜の盛り合わせや飴色に焼かれた北京ダック、フカヒレスープなどをチャイナドレスのウェイトレスさんがサービスしてくれる...紹興酒も欠かせません。
 
と、一般的にはこのような違いがあると思っているのですが、いかがでしょうか?


どちらが上とか下ではなく、また、明確な境目があるわけではありませんが、料理人の私からすると、この二つにはやはり違いがあり、皆さんもその食事のシーンに合わせてお店の使い分けをしている事と思います。


フレンチやイタリアンの専門レストランと洋食屋さんの関係に似ているのかもしれません。


勝見洋一さんの著書『中国料理の迷宮』の中に<日本人と中国料理>という文章があり、その一節には
 
 われわれ日本人は子供のころから中国料理を食べてきた。
 いや、中国料理と言いはじめたのは中国と日本の国交が回復した一九七二年からで、その前には中華料理とも、さらには全中国人が嫌う名称の支那料理とも呼んできた。
 中華とは中華民国の略である。そして中国とは中華人民共和国の略であるらしい。一番上と一番下をとった。
(中略)国名を略して言うのは国名が長いからだが、ともかく「中国料理」は正式には「中華人民共和国料理」ということになる。
 
と書かれています。

 

実際には国交回復以前の1960年代には中華料理から中国料理へと徐々に呼称が変わりはじめていたとする岩間一弘さんという方編著の『中国料理と近現代日本』もあり、根拠となる資料も示されています。

 

いずれにしても日本人には馴染みの深い「中国」がルーツの料理ですが、日本ではその時々の時代背景や、中国の国名が変わるたびに敏感に反応し、その呼び方が変化してきたのでしょう。

 

続く…