「なぁ」
「ん~?」
シャワーを浴びベッドに横になると、僕の前髪を整えながらユノが訝し気な顔をする。
「何?どしたの?」
「あいつ」
「あいつ?」
「あのチャンミンってやつ、ほんとにお前のこと好きだったんだな」
「何、急に」
「いや、ちょっと気になって」
「今そんな話いいじゃん。余韻に浸りたい」
「そうだけど」
大きくため息をつき天井を見上げたユノがまた身体を起こした。
「やっぱりダメだ。ちゃんと話そう」
「話すって何を話すの?」
「俺が会社に乗り込んで行った時、いや、乗り込んだわけじゃないけど」
「その時?」
「なんかやけに自信満々だったんだよな、あいつ」
「チャンミンはいっつもあんな感じだよ。堂々としてるっていうか、物怖じしないっていうか」
「そのくせ、俺が話し出したら一言も話さない」
「だから言ったじゃん。ユノの僕に対する愛の強さに負けたって」
「そうかな」
「そうだよ」
「今でも何か企んでんじゃないか?」
「企むって…そんな人間じゃないよ」
「なんだよ、あいつの味方するのか?」
「敵とか味方とか、そんなの無いって」
「でも…あれだろ?あいつとしたんだろ?その…キス…」
「したけど…」
「あいつ、カッコイイよな。俺より背も高いし若いし。そんな奴とキスとか…マジありえねぇ」
勝手に怒って勝手にそっぽを向いてしまったユノの背中に顔を当て、腰に手を回した。
「ヤキモチ?」
「違うよ」
「じゃぁ、何?」
「ちょっと自信無くなった」
「自信?何の?」
「やっぱり若くてかっこいい奴の方がいいだろ?お前、あいつといる時すっげー楽しそうだし」
「なんだ、やっぱりヤキモチじゃん」
「違うよ」
「違わない」
「違うって」
「違わない」
「しつこいな」
「しつこいのはどっちだよ。バカユノ!」
「俺以外の男とキスまでしといて、なんで俺が怒られなきゃなんないんだよ!」
「僕と別れようとしてた男にそんなこと言われたくないね。いつまでもそんなこと言うならほんとに別れる。別れてあげるよ」
「あぁ、上等だよ!自分がしたこと反省できないとか、信じらんねーし!」
「反省?なんでそうなったか考えてみなよ!誰のせいだと思ってんの?チャンミンだったら絶対にそんなことしない!」
「またあいつかよ!お前もやっぱりあいつに気があるんだろ!!」
「もういいよ。疲れた」
ユノから離れ今度は僕が背を向けた。
「まだ話は終わってない!」
「話したくない。出てって」
「な、なんだよ。怒ったのか?」
「知らない」
しばらく沈黙が続き、僕もユノも微動だにしなかった。
<つづく>
次回最終話です![]()