最近、元オセロの中島知子についての報道がさかんである。
両親が占い師から奪還して、入院させたと報道された時は安堵したものだが、その両親や、世話になった松竹芸能、その他たくさんの友人たちを袖にしてまで、その占い師をかばう姿をテレビに映し出されると、洗脳の恐ろしさを改めて認識させられる。いや、中島知子の場合は洗脳ではなく、中毒もしくは依存状態かもしれない。筆者の考えでは、中毒・依存状態の方が、洗脳よりも恐ろしいと感じている。
洗脳の場合、洗脳状態が抜けられれば、あとは夢から覚めた状態になれるかもしれないが、中毒や依存状態はどうだろう。正常な状態と異常な状態の境目がはっきりしていない分、そこから脱するには、あくまで本人の意志の強さが必要である。中毒・依存状態になっていても、本人がその自覚がなければ、専門家がどんな高度な治療を施しても、回復するのは難しい。仮に本人に自覚があったとしても、中毒・依存状態から完全に抜け出すのは至難の業ではないか。なぜなら、中毒・依存状態というのは、本人にとって、そこにいるのがとても居心地がいいからだ。
少し前に、こんな記事が載った。
こんなセミナーは受けてはいけない “依存症”に追い込む悪質なワナも
この記事によれば、依存症に追い込むセミナーの特徴に次のものがあるという。
「受講中に参加者の自由を奪ったり、大音量の音楽で感覚をまひさせたりするものもある。ポジティブであることを過度に奨励するのは、洗脳系セミナーの可能性が高い。洗脳で信者になった受講者は依存状態に陥り、いつまでもお金を落としてくれる。ビジネスで成果を出すという『出口』をはっきりさせない講座、講師は疑ってかかった方がよい」
まさにビジョンダイナミックスのセミナーそのものではないか。ビジョンダイナミックスでも、特にTT生になると、そこから抜け出そうとすると大きな非難を浴びせさせられる。セミナー中の大音量の音楽は、日常茶飯事である。長年通っている受講生ほど、人生に成功している人はほとんどいない。そして、多くの受講生が何となくわかっている。「ここはヤバいところではないのか」、「ここに来ても、人生の悩みは解決されない」と。だが、それでもまたセミナーに来てしまう。なぜなら、気になって仕方ないのだ。今頃の季節は、たしかこのセミナーをやっているはずだ。あの人は来ているだろうか。他の皆はどうしているだろう。誰々さんが、あのセミナーにまた行ったと風の便りで聞いたものなら、いてもたってもいられない。もう一度、行ってみようか。
こうなっていたら、立派な中毒・依存症である。それを自覚し、自分から必ずここから抜け出すんだという決心をしなければ、依存症から一生抜けれらない。人生の問題をずるずる抱えたまま、何年も何年も人生を無駄に費やすことになってしまう。
では、ここから抜け出すにはどうすればいいのか。残念ながら、筆者にはその処方箋がない。こうすれば絶対に抜けられるという魔法の杖など、ないのだ。あくまで本人の意志と自覚にかかっている。
絶対の処方箋などないが、依存状態から抜け出すときどんな感覚になるのか、一つにヒントになる本を紹介しよう。
絶対の処方箋などないが、依存状態から抜け出すときどんな感覚になるのか、一つにヒントになる本を紹介しよう。
筆者の井形慶子さんは、エッセイストで、特にイギリスもののエッセイで人気がある。スピリチュアル系の専門家ではない。ではなぜ、こんな本を書いたのか。この本によると、ある編集者の勧めで書いたらしい。ある編集者から、何人かの占い師を紹介するから、そのときの体験を書いてほしいと持ちかけられる。井形さんは、他に様々な仕事をこなしながら、この占い師たちと電話で定期的に会話するようになる。最初は半信半疑だったが、次第に占い師たちの言葉に引き込まれるようになる。そして、いつの間に、自分の人生の選択を占い師たちの言葉に委ねるようになる。おそらく、中島知子もこうした状態に陥ってしまったのかもしれない。中島知子だけではない。誰にでも、こうした状態に陥ってしまう危険性を持っている。では、井形慶子さんは、どのようにしてこの状態を抜け出したのだろうか。
筆者が印象に残った個所をいくつか、紹介しよう。セミナー依存症から今抜け出そうとしている人たちにも、何か心に響くものがあるかもしれない。
P152、「夜にそびえる不安の塔」井形慶子著、講談社より
「これ以上3人の女性たちを求めてはいけない。これ以上彼女たちに頼ったら、私は降りかかってくるたくさんの出来事に立ち向かうことができなくなる」
「これ以上3人の女性たちを求めてはいけない。これ以上彼女たちに頼ったら、私は降りかかってくるたくさんの出来事に立ち向かうことができなくなる」
井形さんは、3人の占い師たちに依存してしまった後の自分の姿がちゃんと見えている。
P176
「私自身、取材者としてサワダさんの意志をついで特別な女性たちに迫るのだという半面、その一方で、自分がどんどん見えないものの力に依存し、支配されていく恐怖を感じていたからだ」
「私自身、取材者としてサワダさんの意志をついで特別な女性たちに迫るのだという半面、その一方で、自分がどんどん見えないものの力に依存し、支配されていく恐怖を感じていたからだ」
井形さんは、自分は依存症に入り始めた時の感覚を自覚している。この自覚が、大切なのだ。この自覚こそが、自分を依存症から救える唯一のカギだ。
P280
「万葉さんが私にとって希望であり、平安であるのと同時に、悲しみや不安の根源になっていた理由がここにある。
そして、万葉さんはいつしか恐ろしい塔になっていた」
「万葉さんが私にとって希望であり、平安であるのと同時に、悲しみや不安の根源になっていた理由がここにある。
そして、万葉さんはいつしか恐ろしい塔になっていた」
万葉さんとは、井形さんが取材対象としていた占い師の一人である。一人の占い師に心酔している心理を、見事に表現されている。ビジョンダイナミックスに通っている信者も、こんな心理ではないだろうか。栗原英彰・弘美に憧れる一方で、二人の言動にいちいち振り回される。すばらしい先生だと思っていたのに、目を疑うような言動を目にすることがある。うそだ、そんなはずない。この素晴らしい先生がこんなこと言うはずがない。必要以上に大きく落ち込み、それを否定してくれる材料を必死に探す。見たこと聞いたことを忘れようとする人もいるし、他のささいな出来事を大きく取り上げ、やっぱり素晴らしい先生なんだと思い込もうとする。本当は、ビジョン心理学マスタートレーナーといっても、そんなトレーナー資格など誰も知らない、ただの自称心理トレーナーなのに、それを認めようとしない。だから、気になって気になって仕方ないのだ。
井形さんは、エッセイストらしく、自分の体験をまっすぐに見つめ、執筆することで、占い師依存から立ち直った。その執筆過程は、苦しいものだったらしい。
P294
「光に向かって進む時が一番きついのよ」
「光に向かって進む時が一番きついのよ」
この言葉で、井形さんはこの本を書きあげた。
セミナー依存から抜け出すのは、容易ではないかもしれない。けれど、その苦しさは、今、光に向かって進んでいる証拠なのだ。どうか皆さん、勇気を出して、セミナー依存から一日も早く立ち直ってください。