9/20に雑司ヶ谷で行われましたみちくさ市の「ブングテン20」に参加させていただきました。
2回目で初テーブル展示のため、どのくらいの量の展示を行えばよいかわからず、
かなりごちゃっと詰め込んだ感じになってしまいました・・・
もう少し要点を絞れば、説明ももっとできたのだろうと反省しています。
今回残念ながら来ることができかなった方々のために、
ダイジェストですが展示内容を紹介させていただこうと思います。
今回の展示は大正から昭和初期にかけて3部に分けて紹介させていただきました。
この頃のシャープペンシルは、”繰り出し式”と呼ばれる軸の一部を回して芯を出すものでした。
現在のシャープペンシルで主流である’ノック式’は昭和の初期にやっと
一部のメーカーが作り始めました。
�大正初期(~大正8年(1919年))
『海外から「繰出鉛筆」として輸入され、デパートなどで売られていました。
ドイツやアメリカからの輸入物が多く、高級品だったようです。
金属製、エボナイト製などの材質で、色々なタイプのペンシルが輸入されていたようです。』
デパートの宣伝雑誌であった「みつこしタイムス」や、「白木タイムズ」に紹介されていた
シャープペンシルを現物と合わせて展示いたしました。
また、この頃の外国製と日本製のシャープペンシルもあわせて展示し、比較できるようにしました。
まだ日本製のシャープペンシルは海外の製品を模倣している時期で、
技術的に未熟で、安価のため壊れやすく、あまり普及していなかったようです。
�大正9年(1920年)~大正12年(1923年)
『アメリカ製「エバーシャープペンシル」が輸入され『万年筆の時代は去れり』という広告をだし、売れ始めました。
それに伴い日本のメーカーでも模倣しつつ、より使いやすく改良したシャープペンシルが多く作られました。』
このセクションではとにかくアメリカから輸入された「エバーシャープペンシル」とそっくりな日本製シャープペンシルを集めました。
見た方々はたぶん全部同じに見えるのではないかと思います。
この頃同じタイプのシャープペンシルを製造していた日本のメーカーは下記の通りになります。
・早川兄弟商会(現シャープ株式会社)
中山太陽堂の「プラトンシャープペンシル」は早川兄弟商会がOEMとして製造していました。
・奉仕(スワン万年筆)
海外と同様日本の万年筆メーカーもシャープペンシルを作り始めました。
・ネオ、カルメン(司武川製作所)
カルメンは学生用の廉価版でした。
・ホシエス(山崎商店)
現在のシチズン時計株式会社に発展
・バンコ(江藤株式会社)
1922年創業、のちに万年筆も製造し始めました。
・その他 : コスミック、レイバン、カノエ、クエーカー、イトウ、CM、
ロメオ、トーヨー、AB、レディーライト、ジルコン、エキストラーなど
�大正13年(1924年)~昭和15年(1940年)
『多くのメーカーがシャープペンシルを作り始め、日本独自の技術も開発されました。
シャープペンシルに関する特許の出願件数も、この頃急増しています。
海外にも多く輸出されていました。』
この頃製造された世界のシャープペンシルに対し、
日本のシャープペンシル特有の機構や形状を挙げて展示いたしました。
・ノック式ペンシル
昭和初期に日本メーカーも製造し始めていました。
・平らなペンシル
カノエ、バンコが製造、輸出が多かったようで、アメリカのオークションでもよく見かけます。
・手帖用などの細いペンシル
細いペンシルは海外にも輸出されており、日本製が多かったようです。
・2色ペンシル(複動式、リレー式)
大正末期から日本独自の技術が発明され、独自の進化を遂げて行きました。
二重螺旋構造を用いて芯を交互に出したり、゛なわ゛と呼ばれる
細いバネを用いて軸の中心に芯を配置しなくても繰り出せる構造が発明されました。
・4色ペンシル
特に昭和10年頃発売したアルマイト文具製のシャープペンシルは複雑な機構を備えた
繰出し式の4色シャープペンシルでした。
この時代、このようなペンシルが多く販売されており、 シャープペンシルの一つの全盛期だったのだと思います。