手術を終えて、そしてそれから ”その9(最終)”
-手術を終えて-
台風接近。日本列島を縦断。
ちゃっぴーを迎えに行けない。術後の目には雨を当てることはできない。
術後4日目,台風の通過を待って,僕は朝5時半にJRに乗り,再び大阪へ。
FA動物病院に着いた。
迎えに来た僕に、うれしさのあまり激しく抱きついてきたちゃっぴー。
狂ったように抱きついてきた。
まさに、”地獄からの生還”って感じで震えていた。
きっと、僕が助けにきてくれたと思ったのだろう。
きっと、僕が助けにきてくれたと思ったのだろう。
-ちゃっぴーの近況-
ちゃっぴーは、もう、ちょことじゃれあって遊ぶことはできなくなりました。
ちゃっぴーは、もう、ちょことじゃれあって遊ぶことはできなくなりました。
足下に転がっている大好きなボールも、目で探すことはできません。
時折、効き目の右目で探るようにすることはあるけれど、
それでも、においと右目を頼りに、以前の両目が見えていた頃と同じように、散歩に行ったら走り回り、高い台からジャンプして降りることはできます。
それでも、においと右目を頼りに、以前の両目が見えていた頃と同じように、散歩に行ったら走り回り、高い台からジャンプして降りることはできます。
手術後、2ヶ月ほどして、ちゃっぴーは壁につり下げた人形を見つけることができました。
ぬいぐるみをじっと見つめていました。
ぬいぐるみをじっと見つめていました。
手術前と後で変わったこと。
それはちゃっぴーが、僕にとってもとっても甘えるようになったことです。
僕もちゃっぴーが不憫に思えて、やさしくなっていることを感じているのかもしれません。
-そしてそれから-
あれから後、ちゃっぴーの主治医は僕です。
数種類の点眼液他を駆使しながら、症状に合わせて対処しています。
1本5千円もする点眼液。3種類ほど使う。
動物病院はいろんな病気を扱う分、全部の病院が1つ1つの症状にしっかりと対応できていない。
すべての病院がそれほど、専門的ではないのかもしれません。
自分で調べて最善を選択し、進んでいくしかない。
それを痛感しています。
もちろん、僕の知識はFA動物病院のあの先生方にはまったくかなわない。
それ以外は、緑内障に関しては、眼圧も、それに対する的確な処置も僕一人で、もう大丈夫。 病院と違って、僕が毎日、ちゃっぴーの一挙一動を見ながら目を検診しているから。
もう、牛眼にもならないし、絶対にさせない。
-手術から1年後のちゃっぴー-
今では、きれいな透き通った両目です。
パソコンに向かいながら、僕がこんなことを書いていると、僕の横で、以前のようにちょことちゃっぴーがじゃれ合っていました。
あれから6年経った現在(2019年4月時点)も、ちゃっぴーの右目は見えています。
大阪のFA病院へ ”その8”
-大阪のFA病院へ-
翌朝,朝5時過ぎ
僕はちゃっぴーを柔らかい子犬用の肩掛けバッグに入れて,担いで,近くのJR駅から乗って博多駅へ。博多駅で新幹線を待って,新大阪で降りた。
それで,できるだけ,忍び足でそっと歩きながら,電車を乗り換えて大阪駅に行った。
電車が混み合うと,小籠ごと,ちゃっぴーがつぶされてしまうので,電車内で隙間を作るのに
一苦労。夏で暑いので,団扇で扇いであげながら,大阪駅から電車を乗り換えてK駅へ。
K駅で降りて別の電車を待って,OW駅へ。
OW駅からタクシーでFA動物病院へ。
FA動物病院は、特殊な眼内レーザーをもっている。
このレーザーは,日本で東京と大阪の2カ所の動物病院しかもっていない。
3年前に日本で初めて認可され,人も動物も使えるようになった。
アメリカで開発されたレーザープローブ。
この技術は,今までのように,眼球の外部からレーザーを打つ手術ではなく,
水晶体を砕いて、レーザープローブを眼内に入れ、内側から外に向かって
内視鏡カメラを見ながら,レーザーで微細孔を開ける手術。
レーザーとカメラが同一方向を向いているため、照射ポイントがずれにくい。
そのプローブをアメリカから直接持ち帰った日本の獣医師が2名いて,その人たちだけ
がこれをもっている。現在,東京と大阪で,それぞれ,この手術を行っている状況である。
目が飛び出たパグ犬、シーズー、柴犬などは、緑内障になりやすい。
人だったら、近視の人はなりやすい。
まだ,開発段階なため,まず、日本では手に入いらない。
がこれをもっている。現在,東京と大阪で,それぞれ,この手術を行っている状況である。
目が飛び出たパグ犬、シーズー、柴犬などは、緑内障になりやすい。
人だったら、近視の人はなりやすい。
近視の人は、水晶体が眼内の水分排出を圧迫していることがある。
人工レンズに変えることで、この圧迫も回避できる。
人工レンズに変えることで、この圧迫も回避できる。
何れ、白内障になったら見えなくなるから、それも事前に回避させる。
そういう理由のようである。
そういう理由のようである。
レーザーを少なく照射すると,眼圧が下がらない。
レーザーを打ち過ぎると,眼内の房水が減るため,炎症や失明(眼球が萎み始める)。
レーザーを打ち過ぎると,眼内の房水が減るため,炎症や失明(眼球が萎み始める)。
診断の結果、ちゃっぴーの左目は完全に光を失っていた。
期待していた右目。
病院が見つからずあきらめかけた、あの最後の日曜日。
この日、右目の視神経は徐々に死んでいったようだ。
それでも、最後にマンニトールの点滴で眼圧を下げられた。
右目の下側の視神経は死んでしまったけれど、真正面の視神経、全体の50%以上は健康だった。この段階で連れてくる人は非常に少ないとのこと、奇跡としかいいようがないとのことだった。
その獣医師はちゃっぴーの手術を引き受けてくれた。
-僕は新幹線に乗って、自宅へ帰った-
僕が自宅に帰った日の夕方,FA動物病院から電話。
「ちゃっぴーちゃん,全身麻酔で眠っています。今から手術に入ります。」
ちゃっぴーは「FA動物病院」で大手術して、両目が見えないままのいく晩かのお泊まり。
このままどうされるのか分からないまま、なぜ、両目とも見えないのか分からないまま、
幾晩も震えていたのだろう。
このままどうされるのか分からないまま、なぜ、両目とも見えないのか分からないまま、
幾晩も震えていたのだろう。
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最悪の事態 ”その7”
-最悪の事態-
翌日、それは日曜日の朝のこと。
夜中から明け方にかけて、ちゃっぴーの(いい方の)右目は徐々に白くなり始めた。
何回、点眼液を落としても改善されない最悪の事態となった。
眼球も少し大きく腫れていた。
今までの経験から、おそらく眼圧60ほどか。
ちゃっぴーは事態が分からない様子で、その場に立ったままじっとしていた。
両目とも、見えないので一歩も動けない。
「くう~ん」と1回、弱々しく泣いた。
水も飲めない。
ドッグフードも食べられない。
日曜日なので、どこの動物病院も開いていない。
しかも、全国的な獣医師の学会期間中。。。
しかも、全国的な獣医師の学会期間中。。。
今日、1日、このまま眼圧が下がらなければ、ちゃっぴーは全盲になる。
それは確実。
それは確実。
最悪の事態となった。
-どの獣医師も信じられない-
幸いにして、近くに大きなビルを構える「UN動物病院」、
ここが日曜日に開いていた。
ここは3階建の大きな動物病院。
いろいろな機器がそろっていて、年配の女性獣医師と男性獣医師(夫婦)が、テキパキと処置してくれる病院。以前、僕の家のダックスのももちゃんがお世話になった。
ももちゃんは、悪性リンパ腫だったので、抗がん剤治療はこの「UN動物病院」しかできなかった。
僕は、ちゃっぴーを抱っこして、朝一番、この病院の門を叩いた。
1時間も早く行ったので、まだ、入り口は開いていなかった。
1時間も早く行ったので、まだ、入り口は開いていなかった。
小雨が降っていた。
少し早めに開けてくれたので、僕は緊急であることを説明した。
他の患者よりも先に一番に診察を受け付けてくれた。
他の患者よりも先に一番に診察を受け付けてくれた。
ちゃっぴーの(いい方の)右目の眼圧は、60ちょっと。
今までのちゃっぴーの経緯を聞いたその女医さん。
「今まで、これだけ何回も眼圧が上昇しているから、もう視力は殆どないと思いますよ」
「この病院ではマンニトールの点滴薬剤はないんです」
「血圧を下げる飲み薬を出しておきます。」
「明日、また、様子を見せて下さい」
血圧降下剤は、確かに眼圧も下げるけれど、その効き目は弱いこと、
徐々にしか下がらないことを僕は知っていた。
徐々にしか下がらないことを僕は知っていた。
総合病院だけにいろんな対応は確かだった。
だけど、緑内障についてはあまり知らない、僕はそう感じた。
指示も、指摘も的確。
自宅に帰って、ちゃっぴーに点眼液を滴下しながら、血圧降下剤も飲ませてみた。
けれど、右目は白いまま。
けれど、右目は白いまま。
僕はインターネットで、マンニトールの点滴ができて、なおかつ、日曜日の午後に空いている病院を探し続けた。
けれど見つからない。
可能性のありそうな病院、日曜日に空いている病院10数カ所に絞って、電話をかけてみた。けれど、どの病院もマンニトールは扱っていない。
そうこうしているうちに、4時間近くが経ち、午後1時になった。
「ちゃっぴー、ごめんね」、
僕はそう言いながら、寝ているちゃっぴーの体を何回も撫でていた。
あきらめて、もう仕方がないよねと自分に言い聞かせ、僕は自宅でパソコンに向かって、自分の仕事をしていた。
時間が経つほど、視力は失われつつあることを知りながら、どうすることもできなかった。
午後3時になって、僕は朝、昼と、食事も取っていないことに気がついた。
僕はふと我に返り、”あきらめたくない”そういう思いが強くなった。
最後まで、可能性にかけてみたい。
もう一度、電話帳を調べてみた。
やっと1件、自宅近くで、日曜日の午後、開業している病院を発見。
電話をかけてみたところ、マンニトールの点滴もできるという。
やっと見つけた小さな病院。
「AM動物病院」。
北大の獣医出身のおだやかな雰囲気の先生だった。
僕は先生にちゃっぴーを渡した。
1時間後、
ちゃっぴーは前足に小さな血の跡を残して,包帯を巻かれて病室から出てきた。
眼圧は下がった。
ちゃっぴーは前足に小さな血の跡を残して,包帯を巻かれて病室から出てきた。
眼圧は下がった。
僕との会話の中で先生は,「マンニトールってあまり使ってはいけない点滴なんですね。」
「知りませんでした」って言われていた。
「知りませんでした」って言われていた。
かしこい感じの丁寧ないい先生だった。
その次の週になったら大阪のFA動物病院に行ける。
僕は月曜日から金曜日まで、夜中に数回起きて、ちゃっぴーに点眼し、
その5日間を乗り切った。
明日はちゃっぴーを連れて新幹線に乗って、FA動物病院に行く。
その日の夜。
僕は家内と一緒に、ダックスのちょこと,ちゃっぴーを川沿いの散歩に連れ出して,ちゃっぴーに最後の風景を見せてあげた。
手術で完全に失明することもある。今日がちゃっぴーにとって最後の景色かもしれない。
手術で完全に失明することもある。今日がちゃっぴーにとって最後の景色かもしれない。
次へ続く -大阪の「FA動物病院」へ- ”その8”
追い詰められて ”その6”
-追い詰められて-
このまま、待っていても何も改善できない。
もう、一刻を争うしかない。
もう、一刻を争うしかない。
最後の判断。
最後の奇蹟を信じて、僕は家内とちゃっぴーの手術を決断。
手術は、K市のその「I 動物病院」でするのか、岡山県にあるレーザー治療にするのか。
大阪の「FA病院」か。
大阪の「FA病院」か。
僕は迷った。
K市のそのI動物病院。よく勉強しているいい先生だけど、まだ、若いので手術の腕が今一歩。僕と先生の話の中で、それは確実に僕に伝わってきていた。
岡山でのレーザー治療か。
痛みは伴わないらしいが、その先生に電話で問い合わせても術後が期待できないと言う。
自宅から北に70km離れた「O動物病院」も、「手術結果は期待しないで」と言われる。
それなら、自宅から650km以上離れた大阪のFA動物病院か。
-K市のI 動物病院にて-
先生「私の病院で手術してもいいけれど、その日に失明する可能性がかなり高い」
「だけど、希望されるならがんばります。」
「術後が芳しくない状況は同じだけれど、痛みを避けたかったら、岡山の病院を紹介します。」とのこと。
「だけど、希望されるならがんばります。」
「術後が芳しくない状況は同じだけれど、痛みを避けたかったら、岡山の病院を紹介します。」とのこと。
その先生が紹介状を書いてくれるという。
僕は、自宅から300km離れた岡山市の病院に予約を入れた。
その3日後、その予約をキャンセルし、大阪のFA動物病院を選んだ。
その3日後、その予約をキャンセルし、大阪のFA動物病院を選んだ。
「I動物病院」の先生、少し不満そうだった。
-どこの病院を信じるか-
ちゃっぴーのぶどう膜炎の手術をしてから一週間後の土曜日。
今週、手術できないか。
FA動物病院 「毎週、金曜日と土曜日しか手術はしていない。受付は木曜日まで。」
「けれど、今週は土曜日から獣医学会に参加する。そのため、金曜日から不在」
「来週末でよければ受け付ける」
「来週末でよければ受け付ける」
「けれど、こちらに来ていただいても、診察した結果、視力を失っていたら手術はしない」
-手術までの時を繋ぐ-
今度の土、日、福岡の獣医師もほとんどこの学会に参加することが判明。
殆どの病院が開いていない。年に1度の国内イベント。
殆どの病院が開いていない。年に1度の国内イベント。
ちゃっぴー、来週末までもつだろうか。
運を天に任せるしかなかった。
運を天に任せるしかなかった。
僕は、夜中に3回ほど起きて、ちゃっぴーに点眼。
祈るような気持ちで来週末を待つしかなかった。
祈るような気持ちで来週末を待つしかなかった。
ちゃっぴーの眼圧は、5、6日周期で高くなる。
もし、土、日にちゃっぴーの眼圧が上がってしまったらどうしよう。
今週、土曜日あたりに、ちゃっぴーの眼圧が上がりそうな嫌な予感。
もし、土、日にちゃっぴーの眼圧が上がってしまったらどうしよう。
今週、土曜日あたりに、ちゃっぴーの眼圧が上がりそうな嫌な予感。
けれど、全国的な学会といっても、自宅近くの「KA動物病院」の先生は楽観的だし、
70歳過ぎているし、、、学会には行かないだろうと予想した。
70歳過ぎているし、、、学会には行かないだろうと予想した。
僕の予想通り、その先生、学会開催の土曜日も開業していた。
ここは、マンニトールの点滴ができる病院。
だけど、眼科専門ではないので、眼圧測定器はもっていない。
明日は日曜日。
僕は念のため、ちゃっぴーを連れてその「KA動物病院」を訪ねた。
今度の日曜日を無事に超えたら、ちゃっぴーは最悪、眼圧が上がっても、最後に
もう一回だけ、マンニトール点滴で乗り越えよう。
今度の日曜日を無事に超えたら、ちゃっぴーは最悪、眼圧が上がっても、最後に
もう一回だけ、マンニトール点滴で乗り越えよう。
僕は、そう思っていたから。
-その「KA動物病院」にて-
僕「明日(日曜日)、ちゃっぴーの眼圧が上がったらどうしようもないので、診察して下さい。」
先生にお菓子も持って行った。
先生にお菓子も持って行った。
先生「ああ、ちゃっぴーの目、こんなにきれい。大丈夫、大丈夫。」
「マンニトール点滴は必要ないですよ。」
「マンニトール点滴は必要ないですよ。」
僕は、安堵して帰宅した。
次へ続く -最悪の事態- ”その7”
緊急入院 ”その5”
-緊急入院-
よく見ると、ちゃっぴーの両目は5、6日に一回の周期で朝に白濁していた。
夜中から未明に眼圧が上昇し始めることが分かってきた。
夜中から未明に眼圧が上昇し始めることが分かってきた。
点眼しても白濁はすぐには消えなくなってきたけれど、獣医師の指示通り、朝、5分おきに10回ほどの点眼を続ければ、どうにか白濁が改善される状況。
3時間ほどで白濁が直る。それを繰り返して一週間。
どうやっても、白濁が改善されない時がやってきた。
どうやっても、白濁が改善されない時がやってきた。
急いで、南に50km(車で2時間)離れたところにある「I動物病院」を訪ねた。
先生「ぶどう膜炎を併発しています。」 「今から、ちゃっぴーちゃん、入院してください。」
「ぶどう膜炎の治療をしたら、眼圧が急激に上昇する危険性があります。」
「一晩、ずっと見守りますから。」
「だから、なおさら眼圧が下がらない。」
「ぶどう膜炎の治療をしたら、眼圧が急激に上昇する危険性があります。」
「一晩、ずっと見守りますから。」
夜10時過ぎ、その先生から自宅に電話。
先生「この子、やはりぶどう膜炎でした。今、(いい方の右目の)眼圧が80。」
「すでに眼圧が上がって2,3時間経っていますから、後2時間ほど、この状態が続けば完全に失明します。」
「処置を私に指示して下さい」
「すでに眼圧が上がって2,3時間経っていますから、後2時間ほど、この状態が続けば完全に失明します。」
「処置を私に指示して下さい」
僕 「マンニトール点滴はだめですか?」
先生「それは危険なので避けたい」
「全身麻酔して、注射針で眼球内の水分を抜き取る、これしかない」
僕「それでお願いします。それと、カルシウム拮抗剤の投与をお願いします」
「全身麻酔して、注射針で眼球内の水分を抜き取る、これしかない」
僕「それでお願いします。それと、カルシウム拮抗剤の投与をお願いします」
先生「カルシウム拮抗剤、それもいいですね。了解です。」
翌朝、
ちゃっぴーの右目の眼圧は18。
落ち着いていた。手術代、診察代他で7万円弱支払った。
点眼が効きにくい原因の1つに、ぶどう膜炎の影響があったらしい。
確かにそれ以降の数日間、点眼だけで、ちゃっぴーの(いい方の)右目の症状は落ち着いていた。
確かにそれ以降の数日間、点眼だけで、ちゃっぴーの(いい方の)右目の症状は落ち着いていた。
もう、マンニトール点滴は止めた方がいいかもしれない。
だけど、ちゃっぴーの眼圧が上がって、
白濁して、点眼液で改善できない時がやってきたら?
手術しても痛みを伴うだけで期待できないなら、
僕はどうしたらいい?
次に続く -追い詰められて- ”その6”
**** 少し休憩です(他の人のブログ) ******************
インターネットに載っていたある夫婦のブログ。
柴犬が急性緑内障になって、片目の視力を失って義眼となった。
残ったもう片方の目も急性緑内障になった。
やはり、手術しても改善できないことを知り、バイパス手術の痛みと、
その後の眼球摘出と義眼挿入の痛みの両方を愛犬に与えたくないと、
眼圧を測定できる機器を、病院から月6万円で借りて、毎晩、夫婦交代で
2時間おきに愛犬の眼圧を測って、眼圧が上がり始めたら点眼する、これを繰り返す
こと1年8ヶ月間。
その後の眼球摘出と義眼挿入の痛みの両方を愛犬に与えたくないと、
眼圧を測定できる機器を、病院から月6万円で借りて、毎晩、夫婦交代で
2時間おきに愛犬の眼圧を測って、眼圧が上がり始めたら点眼する、これを繰り返す
こと1年8ヶ月間。
点眼液が効かなくなり、完全に失明して、両目とも義眼になるまでのブログ。
つい、3年前のできごとのようだった。 かわいそうだった。
ここまで、熱心になれる夫婦もいるものだと思った。
ここまで、熱心になれる夫婦もいるものだと思った。
************************************
もう1つの眼科医を訪ねて ”その4”
-もう1つの眼科医を訪ねて-
僕は家内と一緒に,もう1つの眼科専門病院である自宅から南に50km(車で2時間)にある「I 動物病院」を訪ねた。
そこの獣医師は46~47歳。
父の眼科専門病院の後を継いでいる先生。
大きな目をぎょろりとさせ,とても不思議な、少し異様な雰囲気の人。
とても研究熱心で,動物に対する愛情は伝わってきた。
とても研究熱心で,動物に対する愛情は伝わってきた。
その病院にて、
マンニトール点滴は犬に脱水症状を起こさせることで、眼球内の水分も一緒に体内に吸い出す方法であること、重篤な犬に行う最後の手段であること、だから、とても危険なものであること、この点滴は,犬に数回しか許されないことを聞かされた。
マンニトール点滴は犬に脱水症状を起こさせることで、眼球内の水分も一緒に体内に吸い出す方法であること、重篤な犬に行う最後の手段であること、だから、とても危険なものであること、この点滴は,犬に数回しか許されないことを聞かされた。
ちゃっぴーを診断した、その「I 動物病院」の先生、
この病院でも同じ答えだった。
この病院でも同じ答えだった。
先生「もう,どんな方法をとっても,このちゃっぴーちゃんの全盲を回避することはできない。」 「あなたが納得できるまで,時間をかけていくらでも説明します。」
「悲しいことですが,しっかりと受け止めて下さい。」
「悲しい気持ちは痛いほど分かります。これまでにも、私はどれほど多くの緑内障の
わんちゃんをもつ人達に接してその経過を見てきたことか,その数は知れません」
「そのたびに、納得してもらうしかないんです。」
アメリカに2例ほどしかないんです」
そう言いながらその若い獣医師は,僕にいくつかの最新の英語の文献を見せてくれた。
僕が真剣だったこと、
無理だといくら説明されても受け入れたくなかったこと、
僕は、専門内容のやり取りでも用語も、手術内容も、その時点で十分理解していたこと、
それで、その先生、
文献を見せて、僕が英文は読めるものと思って説明してくれたのかもしれません。
気がつけば40分間ほど,その先生と話し込んでいました。
たくさんの患者さんが待っていることに僕は気づきませんでした(普通、5分間ほどの診察)。
先生 「ね、分かってくれました? もう、直らないんです。」
「どんな手術をしても、すぐに失明する。」
「悲しいけど、受け止めてください。。。」
「もう,手術はあきらめるしかないんですよ。」
「私もこういう場面を何回も経験して、そのたびに心苦しいんです。」
「いや、時間は気にされなくていいんですよ。納得してくれるまで僕は説明します。」
「けれど、ちゃっぴーちゃん。これから数日して、眼圧が上がる頻度が多くなってきます。」
義眼を入れましょうか? それがベストだと思います。」
「手術はこちらでできます。」
僕「先生,先ほど,最先端の治療があるって言われましたよね。」
先生「ああ,大阪のFA病院ね。」「だけど,その病院だって,手術がうまくいく可能性は 「だいたい、こういった米国の報告は、表向きにはいい結果を載せてる場合が多くて、
しかも、最新の結果だから分からない部分、怪しい部分が多いんですよ。」
2%,手術がうまくいっても1年内に失明する可能性は90%以上ありますよ」
しかも、最新の結果だから分からない部分、怪しい部分が多いんですよ。」
「判断して下さい。」
「ちゃっぴーちゃん、ここ1,2週間が山場ですよ。」
僕は、一端、納得して悲しい気持ちで家内とちゃっぴーを連れて家に帰った。
それから後、7,8回、僕は家内と一緒にちゃっぴーを連れてこの病院に通った。
次へ続く -緊急入院- ”その5”
右目も急性緑内障に "その3"
-右目も急性緑内障に-
T動物クリニックに通いながら、僕は毎日、ちゃっぴーの両目に点眼を続けていた。
その数ヶ月後のこと。 点眼液が効きにくくなった?
点眼液の種類を変えても、点眼回数を増やしても,ちゃっぴーの右目眼圧は下がりにくくなってきた。
ちゃっぴーの唯一見えていた右目も白くなり始めた。
点眼液の種類を変えても、点眼回数を増やしても,ちゃっぴーの右目眼圧は下がりにくくなってきた。
残された右目だけは、何とか守りたい。
-全盲の朝-
その数日後、土曜日の朝のこと。
「きゅ~ん」とひとつ。
困った様子で弱々しく泣いた。
両目とも真っ白。
まったく見えていなかった。
僕はこの時点で、犬の緑内障に対する十分な情報をもっていた。
僕は僕なりに、ここ数ヶ月、犬の緑内障について文献を読んできた。
徹底的に調べて勉強してきた。
僕は僕なりに、ここ数ヶ月、犬の緑内障について文献を読んできた。
徹底的に調べて勉強してきた。
ちゃっぴーの右目はおそらく、眼圧50以上。
このまま1日放置したら完全に失明する。
このまま1日放置したら完全に失明する。
けれど、土曜日なので、大体の動物病院は閉まっていた。
-眼科専門医を訪ねて-
もう、ちゃっぴーには、眼科専門の病院しかない。
インターネットを使って一所懸命探した。
自宅の近くには,高速道を使って北に2時間のところに眼科専門の「O動物病院」、
南に1時間半のところのK市に眼科専門の「I動物病院」があった。
南に1時間半のところのK市に眼科専門の「I動物病院」があった。
この2カ所だけ。
北の「O動物病院」は,昔から動物の眼科治療で有名な病院らしい。
僕と家内はちゃっぴーを連れて,急いで北九州のその病院へ。
僕「点眼液が効かないんです。何とか,助けて下さい」
そこの先生(60歳後半か)
「今から検査してみましょう」
「今から検査してみましょう」
ちゃっぴー,ぶるぶる,ふるえてた。
しばらくして,
「(いい方)右目の眼圧63。緑内障ですね。」
「左目の眼圧30。瞳孔が完全に開いています。光を感じていません。」
「これで眼圧は確実に下がります」
マンニトールって何?
僕はその名前を初めて聞いた。
ちゃっぴーは前足から1時間かけて点滴。
僕たちは祈るような気持ちで結果を待った。
僕たちは祈るような気持ちで結果を待った。
眼圧は下がった。
先生「もう,点眼液では下がりにくくなってきていますので,その時は、また、こちらに来院して下さい。マンニトール点滴で対処できますから」
バイパス手術でよくなる可能性があるのか、僕はその可能性について先生に聞いてみた。
先生「パイパス手術はお薦めしないねえ。私も今までずいぶんやってきたけれど,手術がうまくいっても,2,3ヶ月もすると孔が詰まってきた。血だらけになるし,犬もかわいそうだし,術後にまったく期待できません。やめた方がいいですよ。」
僕「他に方法はないんですか?」
先生「最新のレーザー照射で孔をあける方法がありますよ。岡山県とかの病院でやっている。」
「だけど,これも経過はまったくよくない。わんちゃんに痛みはない。けれど,結局,
孔は数ヶ月もしたら詰まってしまう。」
孔は数ヶ月もしたら詰まってしまう。」
「手術しても、失明までの期間を数ヶ月の先に伸ばせるかもしれないってことだけで、
手術が失敗して、その日のうちに失明っていうリスクもかなりある。」
手術が失敗して、その日のうちに失明っていうリスクもかなりある。」
「現代の技術ではあきらめるしかないですね」
-マンニトール点滴に望みをつないで-
それから後のちゃっぴーは、点眼液を滴下することで目の白濁は解消できた。
けれど,その5日後のこと。
また,ちゃっぴーの(いい方)右目の眼圧が上がり始めた。
右目が真っ白。
けれど、車で北に2時間のところにある眼科専門の「O動物病院」は休み。
僕は、マンニトール点滴ができる病院を探した。
いつくかの動物病院に電話して、聞いていった。幸いにして、すぐ、近くにマンニトール点滴ができる病院が1つあった。
「KA動物病院」。
「KA動物病院」。
70歳代の気さくな先生。 この病院で、ちゃっぴーはマンニトール点滴を受けて眼圧が下がった。
けれど、とても楽観的な雰囲気が漂っていた。
次へ続く -もう1つの眼科医を訪ねて- ”その4”
名医と評判の病院へ ”その2”
-名医と評判の病院へ- ”その2”
以前,僕たちが飼っていたダックスのももちゃん(悪性リンパ腫)もここに通っていて,
この病院で息を引き取った。
この病院で息を引き取った。
ここは,先生の人柄もよく,動物を人と同じように大切に扱うことで有名な病院。
僕の研究所に勤務する獣医もこの先生のことはよく知っていて、動物アレルギーをもっていること、そのためか、確かにその先生の両腕は真っ赤にただれていた。
ペットを連れた多くの患者さんがやってきて、この病院はいつも2時間から3時間待ちとなる。だから、僕たちはちゃっぴーのこの病院での受診をためらって、SA動物病院に通った。
それが大きな間違いだった。
僕は初めて眼圧測定器を見た。
先生「この子,緑内障ですね。左目は完全に光を失っています。眼圧50~60mmHgですね。」
「右目も眼圧30なので,怪しいです。」 「犬の緑内障って、大体、片目に発症したら、もう片方の目にも発症し始めるんです」
「右目も眼圧30なので,怪しいです。」
「今は見えていますが、何れこの右目も失明することを覚悟してください。」
「緑内障の点眼液を出しておきますね。でも,犬の場合,点眼は効かなくなります。」
「右目も失明します。」僕が手術のことを尋ねると、
先生「目のバイパス手術ですか?」
「....私はあまりお薦めしません。」
「手術がうまくいっても数ヶ月したら,目にあけた小さな孔は詰まってくるので,やはり,眼圧は上がってくるし,,,,手術してもこの子に負担がかかるし,あきらめるしかないですね。」
「幾種類かの点眼液を出しますから,このまま,点眼を続けて下さい。」
「しばらくして、眼圧が上がり始めて失明した後,少しずつ目が大きくなって、
顔からはみ出してきます。」
「牛眼っていいます。」
「失明して光を失っても、痛みの神経は健在ですから、わんちゃん、いつまでも痛がります。」
僕「ちゃっぴーは、全盲になるんですね。。。」
先生「人間の目と違って、動物の目は詰まりやすいんです。術後の経過が芳しくない。」
「私は義眼はお薦めしません。見た目だけの問題ですよね。
「自然のままが、わんちゃんにとって一番いいのかなと思うんですね」
家内は毎回、このT動物クリニックに行き、受付をすませ、数時間待って、ちゃっぴーの両目の眼圧を測って、5mlで5千円もする点眼液を数本買ってきた。保険がきかないので,通院するたびに数万円払って2ヶ月ほどこのT動物クリニックに通ってくれた。
僕はインターネットのwebサイト、そして論文を読んだ。緑内障に関する情報を探し続けた。
そういう知識を僕は得た後、今までの経過を振り返ってみた。ちゃっぴーの左目が白っぽくなっていたのは,急性緑内障により眼圧が上がり始めていたから。
そういう知識を僕は得た後、今までの経過を振り返ってみた。ちゃっぴーの左目が白っぽくなっていたのは,急性緑内障により眼圧が上がり始めていたから。
普通,人も犬も,眼球内の水分は光彩の周りの微細な多数の孔を通ってから黒目の周りから外に排出され,涙と一緒に流れ出ている。
この孔が詰まると,眼圧が上がり始める。
普通,人も犬も,眼圧は10~18mmHg。
ちゃっぴーの場合,この眼圧が40を超え始めていたため,レンズと角膜の間に水分が進入し始め,角膜を押し上げていた。
だから目が少し白かった。
だから目が少し白かった。
眼圧が40を超えると,目に竹串が刺さったみたいに,かなり痛いらしいこと。
犬は我慢強いこと。何が起こったのか分からないから,ちゃっぴーは痛みに耐えてしょぼんとしていた。
そういうことなんだ。
ちゃっぴーは、眼圧を下げる緑内障の点眼もしなかったため、眼圧が上がりすぎて
(おそらく70を超えていた),眼圧により視神経が死んで,網膜が破けて出血した。
(おそらく70を超えていた),眼圧により視神経が死んで,網膜が破けて出血した。
僕たちが、角膜炎だと思って軽く考えて、長い時間、待たされない近くのSA動物病院に
行ったことが間違いだった。
行ったことが間違いだった。
すでに,ちゃっぴーの左目は、完全に光を失ってしまった。
左目は真っ暗闇の世界。
けれど、
犬って、鼻も効くし、片目が見えなくても動きに変化はない。
左目の光を失ったちゃっぴー。片目でも野原を普通に走っているし、ちょこともじゃれ合うし、元気いっぱい。
次へ続く -右目も急性緑内障に- "その3"
それはある日、突然に(ちゃっぴー、緑内障からの復活)”その1”
これは緑内障にかかった我が家の愛犬の復活までの記録です。
犬の緑内障で苦しんでいる愛犬家の助けになればと思い、ブログに残すことにしました。
-2013年春から夏の記録-
現在、2019年4月。今から6年3ヶ月前の寒い1月のこと。
亡き母の後を引き受けて、我が家に来たちゃっぴー(メス6歳)。
部屋の片隅で横になって目をしょぼしょぼさせて、なんだか元気がなかった。
部屋の片隅で横になって目をしょぼしょぼさせて、なんだか元気がなかった。
よく見ると,ちゃっぴーの左目、黒目の部分が少し白っぽい。
近くの動物病院「SA動物病院」に連れて行った。
そこの先生は、福岡市の夜間診療医の代表を努めている50歳後半~60歳代の獣医師。
そこの先生は、福岡市の夜間診療医の代表を努めている50歳後半~60歳代の獣医師。
先生:「角膜炎ですね」
「炎症止めの点眼を出しておきましょう」
数日すると,ちゃっぴーの左目は白っぽさもなくなり,普通どおりに
ちょこと遊んだり,庭をかけまわっていた。
ちゃっぴーは、よく、ちょことじゃれ合って遊ぶことが多いから。
以前も白目にちょこの歯が当たって少し怪我したことがあるし、
だから,角膜に傷でもついたんだろう。
僕は先生の言葉を聞いて納得し、それを信じていた。
後にして思えば、これは僕の思い込み、大きな間違いだった。
後にして思えば、これは僕の思い込み、大きな間違いだった。
-再び発症-
ちゃっぴーの左目に症状が出て,直ったようにみえたその4ヶ月後のことだった。
また,左目が白っぽくなってきた。
同じ病院(SA動物病院)に連れて行ったところ,
「角膜炎,炎症止めの注射も打っておきましょう」とのこと。
「角膜炎,炎症止めの注射も打っておきましょう」とのこと。
僕は、ちゃっぴーをしばらくその病院に連れて行った。
けれど,10日ほど過ぎても、左目の白濁はよくなる気配がなかった。
けれど,10日ほど過ぎても、左目の白濁はよくなる気配がなかった。
-左目の眼内出血-
ある朝のこと。
ちゃっぴーの左目が真っ赤。眼内出血していた。
ちゃっぴーの左目が真っ赤。眼内出血していた。
僕と家内は慌てて,SA病院に連れて行った。
獣医師が慌てた様子で言う。
「あれ~,変だなあ,こんな症例,初めてだ。。」
「すぐにでも、目の専門医に問い合わせてみましょう。」
電話しながら、
僕は、3日後,その病院に問い合わせた。
「今日は休みみたいだから、2,3日,待って下さい。」
SA動物病院の獣医師(夜間動物緊急医療センター長を兼任)が言った。
「電話するの忘れていました。だけど,それ,間違いなく角膜炎ですよ。」
「眼内出血も、少しずつ血が引いてきますから」
「大丈夫です。」
僕は不信感をもった。とてもいい加減な対応。
動物に対する愛情が感じられなかった。
次へ続く -名医と評判の病院へ ”その2”-
何かお困りですか?
東京。
電車から降りてくる、人、人、人。
朝の通勤ラッシュの中、僕は行き先が分からなくなった。
途方に暮れた。
僕はその流れを邪魔しないよう、
駅の片隅に、地図を片手に一人立つ。
その大きくうねった流れは、まるで魚の群れのように大きな塊となって、
はるか前方を迂回して、出口に吸い込まれていく。
僕は道を尋ねたい。
けれど、誰も近くを通らない。
声をかけるきっかけが掴めない。
そうだよね、
みんな、忙しいから。
僕は遠くから、その光景をぼんやりと眺めていた。
10分ほど経った頃、
突然、
その大きなうねりの中から一人、飛び出してきた男性。
僕の方にゆっくりと歩いてきた。
僕の前に立ち止まった。
年の頃、40代。
その男性、僕に声をかけてきた。
「何かお困りですか?」
人の優しさに感動。
その人の、
語り口の柔らかさ。
人は、
楽しいとき、
うれしいとき、
幸せなとき、
まわりに気遣える。
けれど、
忙しいとき、
不愉快なとき、
悲しいとき、
いつしか、余裕をなくしてしまう。
僕も同じ。
「何かお困りですか?」
こういった丁寧な言葉遣い。
僕も人に言ってみたい。
いつか、こういう人になりたいな。