彼の名は[ダイアモンド☆カユイ]。
もしかしたらテレビなどでよく似た名前の人を見たことがあるかも知れないが、別人である。
あちらは赤い戦士たちを率いていた人で、こちらは黄色である。
あちらは愉快な人だが、こちらは痒い人である。
どこがそんなに光り輝くほどに痒いのか、我々には知る由も無いが、ここにグランドマスター[ダイアモンド☆カユイ]の伝説を語る。
彼はこのフランデル大陸に冒険者として降り立った。
人々を脅かす魔物を退治したり、遠く離れた人にものを届けたりして、少しずつ冒険者としての力をつけていった。
だが、強大な悪魔の噂や隠された迷宮の話に触れ、やがて彼は一人で戦う事の限界を知る。
だんだんと彼は他の冒険者と協力して戦うことが多くなっていった。
しかし、命がけの冒険者には荒くれものも多く、自分勝手で心無い言葉を吐くものも多かった。
「なんだその魔法は、全然役にたたんな」
「たいして働いてもいないのに報酬は山分けか、楽でいいな?おい」
「ここらへんの魔物は俺の獲物だ、お前はよそへ行きな」
「おい、今何か拾っただろ、俺が倒した魔物が落としたんだ、それは俺のものだ」
心無い冒険者たちの言葉に彼の心は傷つけられた。
時には思いやりのある気のいい者にも出会ったが、そんな者たちも依頼がすめばまたそれぞれの旅に戻っていき再び会うことは無かった。
そして彼は思い立つ。
信じられる仲間を集めて、ギルドを立ち上げよう。
大陸を走り回る根無し草たちに帰る場所を用意しよう。
自分勝手な者たちに傷つけられる、心優しい冒険者のふるさとを作ろう、と。
決して平坦な道のりではなかった。
再会を約束した者と連絡が出来なくなった。
ギルド設立のために用意した物資を持ち逃げされた。
やっとギルドを設立できたと思ったら、書類を偽造され、ギルドそのものをのっとられた。
ギルドが軌道に乗り始め、仲間の役にたつ魔法の道具を集めだしたら、それらをごっそり盗まれた。
信じた者に裏切られ、正直さを利用され、優しさにつけこまれ、彼は傷ついた。
だが、彼は決してあきらめなかった。
彼はこのフランデル大陸の人々が好きだった。
たまにめぐり合う気のいい冒険者と共に戦う事が喜びだった。
そしてついに彼は自分の信念を形にしたギルドを作り出す。
それがここ[イエロー・ウォーリアーズ]なのだ。
[イエロー・ウォーリアーズ]がだんだんと発展してきたころ、彼は自らの体の異変に気がつく。
冒険者として戦いながら、同じ冒険者に心を傷つけられ、
それでも人々のために戦いながら、仲間を気遣い心と体を酷使した彼は、重い病にかかっていた。
生まれ故郷に帰って静養するため、彼は信じた仲間たちに[イエロー・ウォーリアーズ]を託してフランデル大陸を後にした。
彼が信じた仲間たちは今日も[イエロー・ウォーリアーズ]の名を背負い、彼の帰りを待ちながら人々のために戦い続けている。