「あれを見て。今風が吹いて落ちない花はどんなに風が誘っても、きっと枝にしっかりとついて辛抱している花は、みな落ちずに後に誠の実を結び、めでたく栄えるだろう。人もこのように、欲や酒色事、短気、奢り、非義や非道の雨風や嵐が誘ってきて連れていかれようとしても、ただ堪忍して辛抱して戦々恐々として慎んで、道という枝にしがみ付いて、堪えていれば、遂にはめでたく誠という実を結び、ご先祖様の名を上げ子孫が長く続くことになる。全ては見た目に関わらず、名聞という花を咲かせず、心に誠の実を結びなさい。」

 

特に娘の場合は見た目や飾りより、心の誠が大事である。

 

見目悪しく 姿に花は 咲かずとも 心に実をば結べ 世の人

 

姿こそ 島のえびすに 似たりとも 心は花の 都にぞ住め

 

と書いて渡した。皆出精してともに栄えていった。

 

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顔かたちについては嫌悪感をお催すようでなければ、といっても嫌悪感をお催すのはその人の言動だったりします。逆に見た目が良いと、その言動の悪さが消されてしまうところの問題はありますよね。それを戒めているわけですが。見た目は今の時代、そこそこのマナーを守って貰えればそんなに衣服の見た目が悪いということはないでしょう。

 

が、やはり着ているものは重要ですよ。今の時代選択肢が多い中で考えると、高価か貧相かではなく、わざわざそれを選ぶということでその人の思考がそのまま出てきますからね。

 

自分が偏見を持たないように努力するのはあっても、偏見で判断されない保証にはなりませんので。