大黒は言った。

「お前の質問は面白いな。果報は寝て待てというより、また練って待てというより、今の世の中の人の上に用いて、大いに役に立つ教えである。一休が言っている寝たほど楽なものはないと言っている楽とは、真の果報、真の安楽であって、少しも楽しみらしい楽しみも、果報らしい果報もない。大無我心[1]上品上浄[2]の真の果報である安楽で、言句を絶して悟道発明[3]の目もいらず、また閉じる目も開く目も忘れ切って寝入ることである。言ってみれば目が開いて、アホのタワケの余計なことにすぐに動いて、万劫[4]苦界をダラダラと過ごすようであれば、この場は黙って自得[5]しなさい。」

 


[1] 自己流の判断にとらわれない事。

[2] 上品上生(じょうぼんじょうしょう)のことか。極楽浄土往生の九品(くほん)の中の最上位。

[3] 仏道に悟りを開くこと。

[4] 未来永劫

[5] 自分の身に報いを受けること

 

 

強烈な脅しですね。

 

というか前の前の作品のときは、仏教の話なんかしたらとんでもないみたいな雰囲気でしたが、ここでは思いっきり神仏融合の前提で話が進んでいます。