中国は1980年代の改革開放から2000年前後からやや方向性が変わり、2010年には排外主義をむき出しにするようになりました。特に日本に対する態度は相当なもんがあります。何でこんなに急速に変わるのか、単純に反日、反米、反外国人基本的に中国人の根本的思考を理解しないと分からないでしょう。

まず基本に中華思想があります。基本的にその中華思想が定着したのは明の時代からのようで、古代から民末期に至るまではこの本が一番参考になります。

明の次は清になるわけですが、民は漢族、明は女真族で異民族に支配されることになります。その結果、漢族のフラストレーションと同時に漢族のアイデンティティに混乱が生じたようですね。そこへ来て1800年代後半からヨーロッパから植民地にしたくてやってくる輩がいっぱい入り込んでくることになります。その一つがキリスト教を使ったスパイ活動です。

 

牧師が悩み事相談を受けながら、実質的には朝貢活動の様なこともするのですから、それは怒りますよね。その上で、清朝政府独占だったアヘンも俺たちに売らせろよと言ってきたイギリス、その後に強引には入り込もうとしたフランス、ロシアの南下とストレスは相当なものだったようで、話に尾ひれがついて暴動につながる、それを鎮圧する清朝と外国兵士の繰返しから、ますます国粋的になって行きます。この点は随分日本と違いますね。

 

同時に日本と同様に和魂洋才的な発想があったのですが、そもそもが中華思想の上に海外の技術なんぞという極めて高いプライドと呪術やら迷信やらで全然進まなかったようです。この点もかなり日本と違ったようです。

 

結局、法治国家に転換するという発想に至らず、皇帝は立派な人格なのだから人治主義で充分だとかたくなに抵抗します。これがまた関税自主権やら裁判権でかなりもめることになり、また元に戻るという悪循環で、結局何も解決しないまま感情だけが悪化していくことになって行きます。

 

結局明治維新に成功した日本に留学生を送り辛亥革命に至ることになるのですが、そのまま日華事変、米国の宣教師問題等々のまま中華民国、中華人民共和国につながり、現在に至るという状態なんだそうです。

 

ということを考えると、80年代から2010年までの30年間が異常なだけであって、今のような状態が通常なのかもしれません。

 

専門性がかなり高くかつ400ページという厚さの割には3600円という安さなので、読んでみてはいかがでしょうか。