何首鳥[1] 黒ゴマを酒で蒸したもの 梅干しの肉 黒豆の煮物 甘野于[2]

 

この五つを普段から食べていれば長命不死になると言われている。

 

それよりも心が潔白であれば目覚めも良くなり、気持ちが落ち着かないこともなく、贅沢をしなければ美食や食べ過ぎにならないので胃腸を悪くしない。仕事に精を入れるので色欲もなく、体を動かすことになるので仏神が守っていただける。だから、悪事や災難がやってこないので、寿命が長くなる。必ずしも仙家[3]に長生きや不死の薬を求めてはならない。この他に何事も堪忍して腹を立ててはならない。短気な人は仏神は見捨ててしまうので、身を亡ぼし、家を亡ぼす。

 

よく使えば、これ以上の薬はない。

 


[1] 何首鳥(かしゅう)は、ツルドクダミの根が肥大した塊根部分を乾燥させたもの。古くから不老長寿の妙薬と呼ばれ、強精・強壮剤。

[2] 甘野老(アマドコロ)のことか。アマドコロはユリ科アマドコロ属の多年草で山菜として食べられる。

[3] 仙人が住むところ。

 

最近は不老長寿を求めるなんてことを言う人はいませんね。この当時は、平均寿命が40歳ぐらいですから、孫を抱く前に死ぬことがよくあったのでしょう。そういうことから、孫の顔を見る前に死にたくはないというところでしょう。

 

今は、ピンピンコロリが理想とされていますが、管につながれてまで長生きはしたくないものです。

 

それでも性欲が無くなるまで働けというのは、流石に・・・