「そうはいってもその土地の法に従わなきゃならない。こいつは絶対沈めてやる。」

 

というと、盗人は嘆き悲しんだ。

 

「私が死んだら妻子や年老いた両親は死んでしまうでしょう。どうかお助け下さい。」

 

と詫びた。

 

「住職に命を助けられたのであるから、この事をしっかりと頭に刻み付けなさい。」

 

と許されて帰された。さてもありがたいご本尊であると信心が増していった。これが世間に広がっていき霊験あらたかであると流行り出した。あらゆる人たちが連なって参詣し、頼まなくても寄進が集まり半年もしないうちに、修復の代金になろうとしていた。

もうあるだけお金を入れて、お堂を良い物にしようと相談しているところに、泥棒が入った。住職も持っていけるモノなら持って行ってみろと放置したところ一貫五百目を残して五貫を盗んで逃げて行った。

 

住職は境内で犯人は死んでいるの死んでいるのではないかと行ってみると、行方知れず。そこで住職は肝をつぶして庄屋を呼びに行った。近所の人を起こしてまわったが、どうしようもなかった。庄屋は

 

「このことが世間に知られては外聞が良くない。人々の信心も冷めて、不動参りが終わってしまうかもしれない。この事は一切口外してはならない。借金をしてでもまずお堂を修復して、お参りの信心が覚めないようにしよう。」

と決めた。

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ああ、なんか日本的な解決方法・・・