海部や浦で座礁したときは、船頭や水夫の命を助け荷物を引き上げてやり、その難から救ってやりなさい。心得違いのものは法度に違反して流れ着いたものを奪い、それを隠し持っている。それどころか子供たちもそれを見習って、上には知られないだろうとばかりに欲を隠して、当分の間はバレないだろうと思うだろうが、天道神明はそういうのを嫌う。だから、自分の身のためによろしくない。どんな事であっても不実であることを戒めて、善事を教え申し諭しなさい。

 

ー--------------------------

 

あっちこっちに水軍の言い伝えがありますけど、軍隊なんかではありません。強盗です。江戸時代の初期までは、普通に「水軍」と言われている海賊がいました。伝承が残る地域では英雄伝説になってますけどね。

 

この時代、船が難破して荷物が陸に打ち上げられるとそれは地元の住人のものになったそうです。だから水死した人を「えびす」と呼んで村総出で供養してやり、その代りに流れ着いたものを頂くことが一般的でした。

 

その一方でよからぬ者たちもいたわけで、嵐で難破したかのように見せかけて、襲撃する者も出てきます。今と違って人件費が安く相対的にモノの値段が高かった時代ですから、下手すると襲って荷物強奪で生計を立てていた輩が出るのもわかります。

 

江戸期に入って、年貢を納めた帰りに北前船などで運ぶことが一般的になると、これまで強盗集団を護衛として雇うようにして治安の維持と年貢の安定供給を目指したそうです。

 

今でも東南アジアと西アジア、中南米にも海賊はいます。ロケットランチャーとか手りゅう弾、機関銃で襲ってきます。彼らも飯が喰えればこういうことをしなくなるのでしょうけど。

 

一方、地面に落ちていたものについては集団で略奪するのは、先進国でもありますよね。アメリカ、フランスは見るも無残な・・・彼らには公の概念をどうやったら身につけられるのでしょうか。いわんや中国においてや。