それぞれに人情があって、五倫五常がないということはない。この五倫五常がなければ盗人も盗みをせず、ともにいられるだろう。盗人が盗みをするのも元と言えばこの五倫五常を欠けることを悲しみ、一念思い誤って悪行をする。ましてや人の人たるゆえんは、この誠の一字にこもっている。

 

町人は売買して利益を得るものであるからといって、質の悪い物を高く良い物の値段で売らず、悪しき物には相応の値段で、良い物には相応の値段をつけて、その物の由来を尋ねてその安いところに買いに行き、物の少ないところに出して、値段の高いところで売る。これが商売の基本である。人の目をかすめて利益を上げることではない。とるべきものは自然に得られる利益である。

 

天下のために万物を流通させ、財宝を流通させるための交易である。この点をよく考える人は、売買の道に天地の運気を受けて、人の口を借りても天が言わせるところの相場というものである。

 

だから、この相場に立つ人が指ひとつで売買の証拠として、千石万石の商いに無理をすることなく、百万石の利益を得て百万石の損をしても、この指先一つが証拠で、いかに嘘が多い世の中であっても、この損得に違いがないのは、天道より賜る信の道と言うものである。こういう正直正道の商売に非義非道なことを企てて出世立身できるものではない。よく考えて仕事をする人は、利益を必ず得る。

ということになれば、天地は正直の入れ物である。この正直を中に込めていれば、長続きするのだ。正直正道を基に寝ても覚めても、売買に気を付けていれば、どんな商売であっても福徳は得られる。

ー--------------------------

 

人に五倫五常がないことはない・・・そうなのかなぁと、ロシア兵を見てて思いますよ。その他、アメリカでも災害があったときや中国でも。ああいうのは、国土の問題から逃げようと思えば逃げきれるからでしょうね。日本では地租改正まで一村1000人弱で納税も連帯責任、よそ者はすぐに存在が分かるような社会でしたから、何かやってもすぐ捕まるという感覚があったからでしょう。あのような略奪や強盗をする連中を教育するのは、相当至難の業でしょう。

 

前段はどうでもいいとして、商売の基本は安くて余っているようなところから買い上げて、物が少なく高いところに売るのが基本です。4月下旬のリンゴは、産地に行くと廃棄寸前あるいはジュースにする寸前で1個20円しません。都内だと200円です。こういうギャップのあるところに売るのが原則だと思います。

 

もっともこれは生活必需品ですが、欲しいと思わせる、需要を気づかせる、これをやり過ぎるのもどうかと思います。