「隠れたるより見わるるは莫く、微かなるより顕らかなるは莫し。[1]」と言われている。これは、隠れて何かしようとしても他人には世間的には知られてしまい、又小さいことはなかなか知られないだろうと思うかもしれないが、自然と目についてしまうので、自ら誡め慎むとおっしゃっている。だから、「君子は其の睹えざる所に戒慎し、其の聞こえざる所に恐懼す。[2]」とおっしゃっている。

 

となれば商売をする家は、たとえ知らない人が急に買い物に来たとしても、よく知った人に売るのと同じように売りなさい。高く売って客がそれを分かっていなかったとしても、後で高い値段でつかまされたと知ることもある。もし気づかないにしても、なおさら義を重視して、高値で売らないようにするのが天の道である。あるいは、急に必要になって高値で売る場合もあるが、買った方は高値で買ったとは分かってはいても、心の底では高値で買ったことを覚えているので、又その店に行くと高値で買わされると思って買いに行かないくなることもあるので、一度は徳をしたと思うかもしれないが、後で損になる。

 

利益は損の中にあって、損の中に利益があるものだ。損得は一体のものだと思いなさい。しかも僅かなことで利益を出しても、後で大きな損になることを分かっておらず、評判を落とすことがあっては商売に差しさわりが出て大きな損につながる。しばらくは損になるかもしれないが後から利益になることは天の理屈に叶う。だが、この点を弁えないと、後で起こることの患いを考えず、義を忘れて家の害となって、立身することはできなくなる。だから利益には義がつきものであること理解することが重要だ。

 


[1] 原文は『中庸章句』の「莫見乎隱、莫顯乎微。故君子愼其獨也。」

[2] 原文は『中庸第一段第一節』の「是故君子戒慎乎其所不睹、恐懼乎其所不聞。」意味は、君子は、見えない物でも戒め慎み、聞こえない物でも恐れ愼むのである。」

 

何度も出して恐縮ですが、最初の勤務先の近所は見事でした。田舎に行くと、誰の紹介かで値段が全然違うんですよ。それは何となく知っていたので、車を買いに行くときに同僚の紹介で行きました。「この値段ですか?」という見積もりを出して、特別価格だと。ところがよそに行くと「これこそが相場だよね」という値段を出してきました。

 

さらに驚くべきことに、最初に行った店から電話があって「おまえ、どこの店で見積もり取ったろう」と凄まれたのです。いやーほとんどヤクザですね。

 

さらに別の人を介して見積もりを出してもらおうとしたら、ジャージで金鎖、パンチが少し入った80年代のヤンキーみたいなのが職場にやってきました。お客さんの所に行くときの損な恰好???さらに、相場よりずっと高い値段を言ってくるんですね。「あんたこれは激安だよ。」

 

結局飛び込みで行った店の方がちゃんとしていたというオチでした。どうやら仲介者にいくらかバックマージンがあったようで、それ自体は否定しませんが、結構いい金額を抜いていたようです。飛び込みで入った店も、この地域以外に20年勤務していた経験があったそうです。外に出たことがない自称小京都の住民はやることが怖いですよ。