鎌倉の泰時朝臣[1]は食事中であっても急ぎの用事があれば、それに応対した。一度楠氏が訴えに来たがそれを聞いて、寝るこも休むこともせず、その人が憂いを抱えたまま待っていることを恐れた。進んで万人を可愛がるようにして、退いては失礼があっては恥であると言われている。この泰時朝臣は天下の実権を握った人ではあるが、髪をととのえ訴えがあればそれを聞き、侍が来れば食事を与え、お会いになったそうだ。

 

町人であればなおさらこうすべきである。町人同士であれば身分の上下はないし、同列であって区別もない。金を持っている方を上とするのであれば、少々金を持っているであっても、自分より金持ちはいないと思っても、三十貫目に人もいれば三百貫目もあれば三千貫目を持つ人もいるだろう。だから少々金を持つようになったからと言って、大きな顔をしないほうがよい。

 

また、武家の知行は確実に貰え、その根拠は確かなものである。町人が百貫目持ったからと言って確かなものではない。商品であっても値段には差があり、損もあれば利益も出る。人に金を貸すときは利子があるが、元金丸ごと損になることもある。盛者必衰の理を忘れてはならない。だから金があると思ってはいけない。一方で、金がないと思ってもめぐりあわせによって急に金持ちになる者もいる。五十貫目から三百貫目の金ができたとしても、自分は立派だと他人を見下して、貧乏人を見ても声をかけることすらなく鼻であしらって、そういう人に出会わないようにするのは非常に無礼である。今は良くても明日はどうなるか分からないものであるから、貧乏人を馬鹿にしてはいけない。

 

食事の最中であっても相手を待たせず、少しも自分優先にすることなく、挨拶や対応をしっかりすべきことである。何の官位もない身分なのに、高い態度に出てくるときは、その時は金を持っているからそれに従うが、心の底では腹立っているので、損が出たときはその人は罰が当たって害ばかりになる。そうしているうちに落ちぶれていくものだ。金があるからと言って、貧乏だったころのことを忘れてはならない。商売をするにおいて、繁昌ばかりではないことを忘れてはならない。

 


[1] 北條泰時(寿永2年(1183年)―仁治3年6月15日(1242年7月14日))は、鎌倉幕府北条家の中興の祖として、御成敗式目を制定した人物である。

 

休み時間はしっかりとってくださいとは思いますが、待たせるのは本当に無礼千万の行為です。

 

普段から、5分10分遅刻する人はいます。遠くから来る人が時間前についているのに、一番近い人が遅刻するというのはよくある話ですが、こういうのは許してはいけません。遅れそうであれば事前に電話すべきです。こういう人はリモート会議でも遅刻するんですよね。こういう人は、時間通りに来ている人の時間を奪っているだけではありません。

 

思いっきりペナルティを与えて締め上げてください。恵比寿屋さんは20分以上は絶対に待ちません。

 

お見合いの時に30分遅刻してきた挙句に、失礼極まりないことばかり質問する人がいました。「○○市ってバスが通ってるんですか?」とか、言葉の節々で変なことを言う人だったなぁ。遅刻する人ってそういう人なんですよ。