中京のある金持ちの家の妻に松という女がいた。見た目はぱっとしないが、その心や貞節は従順で操が正しかった。この夫の方は金持ちであるにもかかわらず常に大酒のみ、手当たり次第女に手を出して、散々無茶苦茶なことをやったが、妻の方は少しも嫉妬することもなく貞節を守っていた。

この夫は一度ぐらいはこの妻に嫉妬させてみたいと様々な悪さをしてみたが、この妻は全く動じなかった。この夫はあるとき自分の妻が嫉妬しなくても、怒らせてみようと大酒を飲んで、悪口を一首書いて渡した。

 

焼きもちは やかねど 顔のくすぼりて 色は真っ黒 尻はでつくり

 

この歌は自分の妻の姿をそのまま写したものでそれを持っていかせ、早く返歌を寄越せと言って馬鹿にした。妻の松はじっくり読んで恥ずかしながらとこの歌に返した。

 

ありがたや 姿のみにて はづかしき 心の沙汰を 包みたまふは

心をば 鏡に映し 見給はば 姿に勝り さぞなはづかし

 

と詠んで送り返した。夫はこれを読んで酒が一度に覚めてしまい、感動のあまり袖を濡らした。自分はこれでもかとばかり悪態をついたのだが、妻は却ってそれをよい方に解釈して、夫ならばこそ自分を認めてくれて、見た目の悪さだけを小ばかにしている。そのぱっとしない姿以上に私を認めてくれている。自分の心を隠していらっしゃるのは、さてもありがたい事。これは私の夫であるからこその言葉。

 

こんな謙遜の貞女はこの世にはいないだろう。それ以来身を保ち生活を改め、この松と長く仲良く過ごし、代々栄えていった。世の中の女性は、この松を手本としなさい。仮にも焼きもちに身を焦がすようなことはしてはならない。

 

愚かなる しんいの炎ふりたてて 我と向かふる 火の車かな

 

この火の車も自分でやったこと。とにかく、女性のすべき最も重要な慎みはケチとしつこさで、驕ってはいけない。昔から驕るものは亡び、自分はまだまだだと慎む者は栄えると言われる。

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これと似たような話を知っています。

 

元同僚ですが、結婚2年目から浮気し放題、1か月家に帰らず。でも、元の鞘に収まったんですよ。世の中分からんものだなと偉く感心しました。

 

唯一違う点は、嫁は結構美人でした。恵比寿屋さんが横恋慕したくなるくらい。

 

このケースでうまくいったのは、嫁の天然具合が高かったからでしょうね。これを手本にしようったって上手くいかんでしょう。