亭主は、両親へ孝行を尽くして、手代や小者、下女やはしたにいたるまで、自分のことのように慈愛を厚く、悪人にならないように扱いなさい。親類は自分の父母の片割れだと思い、老人衆は親のように扱い、若い人たちには自分の子供のように諭して導いてやり、商売相手の売り先は自分の主人のように思い厚く敬い、わずかでも不忠がないように、商品については丁寧に誠実であるようにしなさい。

買う場合は、父母に似たような道理がある。どのような場合でも間違ったことはしてはならない。特に、謹んで百姓の田地のように思い、こちらの扱いが悪ければ作物の成長が悪く、大地から見放されるようであれば生活は全くできない。少しも無理なことを言わないしない、田地が肥えるようにしてやり、いたわりは厚くしかも判断は必ず油断せず。このようにしていれば、買う人にとって良く、心からの義に感心し、どんなことであってもその人のものを買う気になるだろう。

売る人はその人の心を大切に思い、その人のためになるように商品に注意するようになる。妻子や手代の類は当然出入りの業者やはしたに至るまで、こちらの主人のような人はいないと従うようになり、この人のためならば誰のためにするのだろうかと集まるほどの者が忠義を尽くして敬えば、その家が倒産するということはないだろう。そのような亭主であれば、これこそが誠の財産持ちの良い人であるというべきだろうか。

こういうことから、君子は自分の財宝が少ないことを憂うるのではなく、上下の分限に関係なく不相応なことを考えていることを憂えるべきだ。

全てのことに身分の上下の分限通りであれば、いずれも心の底から打ち解けあって仲良くなるので、互いに不自由させないようになる。そうなれば、不満はなくなっていく。

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家族的経営の典型例ですね。どんなに出来の悪い息子であっての、まずは教えて諭して教育するところから始めなさいと。

今の即戦力だとか無能なやつを追い出せだとかというのとは全く違います。能力があっても倫理観がおかしいのは、やはり上司としてはいて困るのではないでしょうか。その典型例がブラック企業というわけですが。