老人子供病人などは、特に注意して養わないととんでもないことになることが多い。そういう事例が多いので、ここでは書ききれない。宿場の医者に老人など扱いなれている人に事前に聞いておきなさい。または、かな書きで聞いたことを書いておく方法もある。よく考えなさい。前方、ある所に当歳子[1]を花見に連れて行き、出かけてすぐから泣き止まないそこで連れて帰りいろいろと治療してみたが、医者は虫のせいだとかなんだとか言って結局治せなかった。その晩結局死んでしまった。死んでから着物を逃がせてみると、絹針が肩に刺さっておりその痛みで泣いたようである。痛ましいことだ。

またある所に十四五歳の娘がシラミをうつされたことに気づかず、高熱を出した。労咳の治療をしたが、ふと襟のところにシラミがいるのを見つけて衣服を脱がしてみたところ大きなシラミがいた。驚いてすぐに着替えさせたところ、すぐに病気は治った。

総じて原因がはっきりしない病人は、体中を探して異常はないか、小さな腫物はないかをよく探すことだ。凝結しているのもうっかりしていると見つからない。ただ皮膚の表面には現れず、探ってみても見つからないし病人も気づいていない。また、腫物などには最初はそれほど熱もなく、痛みもかゆみもないので、その腫物が原因になっていると気づかない。ただ気分が重いだとか、食欲がないとか言っている間に難しいことになるのこともある。油断ならないものだ。これらのことに限らず、飲食衣服にも気を付けなければならないことが多い。

また、人に仕える身であるならば、常に老人や子供にお仕えする身であれば、特に注意しなければならないことである。

 


[1] 満1歳未満の子供

 

この頃の医療は今のド素人よりひどかったので、こういうことがよくあったのでしょう。それにしても、子供の肩に針が刺さっているのに気づかないってどんな親なのでしょう。おかしいと思ったら、一通り逃がせて見ませんか?

最近、虐待が立て続いていますがのきっかけが、子供が泣いてばかりで何を要求しているのか分からないらしいです。そりゃ明確にここが痛いとかが言わないでしょうが、眠いのか、腹が減ったのか遊んで欲しいのかぐらいは分りそうなものです。うちの子はよくわかりましたよ。近所の子供でも要求する内容は分りました。

分からないというのが分からない。